本文へスキップ
メインコンテンツへスキップ
Atlas · 肩

大円筋

大円筋は肩甲骨の下部と、上腕骨の近位前面をつなぎます。腕を下方・内側へ引く動きを助け、後腋窩ひだの一部を形成します。クライミング、水泳、重い物を引く動作の後に痛むときは、負荷やけがの問題として評価します。

大円筋
身体部位
肩
トリガーポイント
3
この筋に記載
よくある症状
3
記録されたパターン
よくある原因
3
関連する因子

筋肉の概要

症状と最初の対処

最初にできる対処

  • 重い物を引く負荷を減らし、肩は無理のない範囲で動かしましょう。
  • わきの後ろを深く押さないでください。
  • 引く動作の負荷を段階的に増やし、競技へ戻していきます。

評価を受ける目安

  • けがの後に力が入らない、腕を上げられない場合は、速やかに診察を受けてください。
  • 夜間痛が続く、動かせる範囲がさらに狭くなる、神経症状がある場合は、再評価が必要です。

大円筋は上腕骨結節間溝の内側唇に付着します。広背筋と共通する働きがありますが、腱板には含まれません。

診察・触診・治療の根拠

筋肉と痛みの図解

Teres Major · Regional source example

Teres major: source anatomical and surface examples. Panel A uses red referral fields; panel B retains the original dark stippling. Travell and Simons, Fig. 25.1, p. 588. Regional illustration; not an individual map of a selected numbered point.

画像内の表記は英語です。

元のサイズで画像を開く

トリガーポイント

1. TrP1

位置。 肩甲骨下部後面

トリガーポイントの分布図
大円筋 — トリガーポイントの分布図元のサイズで画像を開く

この筋肉で共通の図です。複数のトリガーポイントが示されている場合があります。

関連痛の分布図
大円筋 — Teres Major · Regional source example元のサイズで画像を開く

筋肉の領域を示す参考図です。選択した番号のトリガーポイントだけを示す図ではありません。

関連痛。 肩の後面、上腕後部

関連痛のパターン

  • 肩の後面
  • 上腕後部
  • 三角筋領域

この痛みが、どのように感じられるか

肩の後ろや後腋窩ひだに感じる鈍い痛みは、腕を引く動作や内旋で強まることがあります。腱板の問題が誤診されていたと決めつけず、動作とけがの経緯を確認します。

患者さんからよく伺うお話

  • 肩の後ろの痛み
  • 引く動作での痛み
  • 上腕後部の鈍痛

症状が悪化しやすい状況

  • 引く動作
  • 内旋
  • 内転
関連する運動を見る (1)

患者が訴える症状

引くとわきの後ろが痛む 軽いローイングやプルダウンでの反応を、痛みが出る競技動作と比較します。

腕を頭上へ伸ばすと不快感がある 広背筋を無理に伸ばさず、腕を支えて動きを調べます。

引く力が弱くなった けがの後に急に力が入らなくなった場合は、診察が必要です。

よくある原因

クライミングやプルダウンの負荷増加 引く動作の負荷を急に増やすと、痛みが出ることがあります。

水泳の練習量 繰り返し水をかく負荷と、回復の状況を確認します。

急に強く引く動作 皮下出血やポンと弾ける音があれば、筋肉や腱の損傷が疑われます。

臨床家と指導下の学習者向け

臨床資料

わきの後ろが痛む、手を伸ばせる範囲が狭いといった症状だけでは、大円筋と広背筋、腱板、関節の問題を区別できません。

解剖と触診

解剖学的な位置関係

大円筋は肩甲骨下角の後面付近から起こり、上腕骨結節間溝の内側唇に付着します。肩の内転と内旋を助けます。[1]

  • 肩甲骨下角。
  • 広背筋とともに形成する後腋窩ひだ。

周辺の組織。 上方には小円筋があり、上腕三頭筋長頭が近隣の解剖学的な間隙を隔てています。腋窩の神経や血管は、圧を加える対象ではありません。

触診

患者さんの体位。 側臥位で、腕を少し外転させ、前方で支えます。

解剖学的な目印を確認する

  • 肩甲骨下角を確認します。
  • 隣接する広背筋線維にも注意し、幅広い後腋窩ひだを上腕骨近位部へ向かってたどります。

診察の手順

  1. 腰へ向かって軽く引く力を入れてもらい、収縮する組織の位置を把握します。
  2. 力を抜いてもらい、触れられる筋腹に沿って軽く触れ、反応を比較します。
  3. 普段の痛みと、同じ引く動作との関連を確認します。広背筋からすべての線維を分けて触れようとはしません。

所見を記録する

  • 筋腹の痛みと腱周辺の痛みを分け、腫れや皮下出血も記録します。

限界と注意点

  • 急性断裂を疑う症状がある場合は、強い触診を控えます。わきの下を深く押さないでください。
[1]

診察と検査

2

抵抗を加えた肩の内転・伸展[1]

症状が出る、引く方向の動作を評価します。

体位
座位で肘を曲げ、上腕を少し前に置き、体幹を安定させます。
手技
患者さんが肘を下方・後方へ、腰に向かって引く間、検者が軽い抵抗を加えます。発揮できる力と後腋窩ひだの痛みを比較します。
陽性所見
普段の痛み、または繰り返し確認される筋力低下。
解釈
負荷を選ぶ手がかりになります。急性の著しい筋力低下があれば、損傷の評価を検討します。
限界
広背筋、大胸筋なども働きます。ここで大円筋だけを診断するための基準値はありません。

肩の自動運動と、支えを用いた他動運動の比較[2]

力を入れると痛む状態と、関節の動き自体が大きく制限される状態を区別します。

体位
自分で腕を上げる動きは座位で調べます。他動運動は仰臥位で、肩甲骨と腕を支えて行います。
手技
自動挙上と外旋を記録した後、検者が同じ運動面でやさしく動かして比較します。普段の痛み、可動域、肩甲骨が早い段階で代償して動くかを確認します。
陽性所見
自動運動が制限されても他動ではより広く動く状態と、両方が大きく制限される状態を区別します。
解釈
自動・他動可動域の差が大きく、筋力低下もあれば、腱板や神経を評価します。他動運動が全体に制限される場合は、関節や関節包に応じた診療を検討します。
限界
痛み、身構え、測定姿勢が動きに影響します。どちらのパターンでも、個々のトリガーポイントは特定できません。

ほかの原因との鑑別

広背筋または大円筋の筋損傷・断裂[1][2]

判断に役立つ所見。 急に引いて受傷し、皮下出血、腫れ、明らかな筋力低下を伴います。

次の対応。 損傷の評価を手配し、必要に応じて対象を絞った画像検査を行います。

腱板または肩甲上腕関節の障害[2]

判断に役立つ所見。 引く動作だけでなく、腕の挙上や回旋でも痛む、または他動可動域が制限されます。

次の対応。 腱板の筋力と、自動・他動可動域を評価します。

腋窩神経または頸部の障害[2]

判断に役立つ所見。 感覚が鈍い、三角筋の筋力が低下している、首の状態によって症状が変わるといった所見です。

次の対応。 局所をさらに深く押すのではなく、神経学的診察を行います。

治療の選択と進め方

セルフケアと活動

重い物を引く負荷を一時的に減らす[1]

検討する場面。 評価済みの過負荷で、急性断裂の徴候がない場合。

痛みが出ない軽い活動は続けながら、プルダウンでは重量、クライミングでは難度、水泳では練習量を減らします。

実施量と見直し
症状が出る動作で調整を試します。痛みの変化と動作への耐容度を確認してから、続けるか判断します。
段階的な進め方
負荷の要素を一度に一つずつ戻していきます。
中止・再評価の目安
悪化が長引く場合は負荷を減らします。新たな著しい筋力低下、感覚の鈍さ、けがによる鋭い痛みがあれば、再評価が必要です。
根拠と限界
引用文献は、解剖を踏まえた位置把握や肩周囲の診療を支えています。活動内容と開始時の運動量は、臨床で応用したものです。これらの文献から、大円筋単独に対する有効性が確立されたわけではありません。

運動とリハビリテーション

支えを使って腕を頭上へ伸ばす練習[1][2]

検討する場面。 腕を上げられる範囲が狭くても、痛みは許容できる場合。

前腕をテーブル上で前へ滑らせ、体幹をやさしく後ろへ移します。わきの後ろに鋭い痛みが出る手前で止めます。

実施量と見直し
開始例として、無理のない5〜8回を1セット、1日おきに行います。症状の出やすさと翌日の反応に応じて調整します。
段階的な進め方
支えなしで頭上の動作を行う前に、無理なく伸ばせる範囲を広げます。
中止・再評価の目安
悪化が長引く場合は負荷を減らします。新たな著しい筋力低下、感覚の鈍さ、けがによる鋭い痛みがあれば、再評価が必要です。
根拠と限界
引用文献は、解剖を踏まえた位置把握や肩周囲の診療を支えています。活動内容と開始時の運動量は、臨床で応用したものです。これらの文献から、大円筋単独に対する有効性が確立されたわけではありません。

運動とリハビリテーション

腰へ向かって引く動作を段階的に練習する[1]

検討する場面。 評価後、引く機能が保たれている場合。

肘を曲げ、弱いバンドの抵抗に逆らって腰へ引き、ゆっくり戻します。急に引いたり、上体を後ろへ倒したりしないでください。

実施量と見直し
開始例として、無理のない5〜8回を1セット、1日おきに行います。症状の出やすさと翌日の反応に応じて調整します。
段階的な進め方
翌日も症状が安定していれば、まず抵抗を増やし、その後に競技で必要な速さへ進めます。
中止・再評価の目安
悪化が長引く場合は負荷を減らします。新たな著しい筋力低下、感覚の鈍さ、けがによる鋭い痛みがあれば、再評価が必要です。
根拠と限界
引用文献は、解剖を踏まえた位置把握や肩周囲の診療を支えています。活動内容と開始時の運動量は、臨床で応用したものです。これらの文献から、大円筋単独に対する有効性が確立されたわけではありません。

再評価と経過観察

  • 同じ軽い引く動作と、支えを使って腕を頭上へ伸ばす動作を繰り返します。
  • 水泳やクライミングへの耐容度に加え、皮下出血や続く筋力低下も記録します。
  • バンドの抵抗と、体幹で代償せずに制御して引ける回数を記録します。負荷を増やす前に、翌日まで続くリーチ範囲の低下がないかを確認します。

根拠と出典

  1. University of Washington Muscle Atlas: Teres Major

    2026 · 大学の解剖学参考資料

    2026年9月閲覧。年は閲覧年です。付着部と働きの参考資料であり、治療効果やポイントマップの妥当性を裏づける資料ではありません。

  2. Desmeules et al. Rotator Cuff Tendinopathy Diagnosis, Nonsurgical Medical Care, and Rehabilitation

    2025 · 診療ガイドライン

    腱板腱障害のある成人が対象で、部分断裂は含みますが全層断裂は含みません。運動を中心としたリハビリテーションを推奨し、体外衝撃波療法の適応を石灰沈着の有無で区別しています。

関連するトリガーポイント

  • Latissimus dorsi
  • Teres minor
  • Infraspinatus
  • 広背筋 TrP1
  • 肩甲下筋 TrP1
  • 小円筋 TrP1
  • 大円筋 TrP1
  • 大菱形筋 TrP1
  • 上腕三頭筋長頭 TrP1
  • 棘下筋 TrP1