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Atlas · 腰部

腰方形筋(QL)

腰方形筋は、骨盤と一番下にある肋骨を結ぶ深層筋です。体幹と骨盤を制御する働きに関わります。腰痛があると押して痛む場合がありますが、ストレッチ、側屈、圧痛点を一つ調べるだけでは、痛みがこの筋肉から出ているとは判断できません。脇腹痛に排尿症状や発熱が伴う場合は、別の評価が必要です。

腰方形筋(QL)
身体部位
腰部
トリガーポイント
4
この筋に記載
よくある症状
4
記録されたパターン
よくある原因
4
関連する因子

筋肉の概要

症状と最初の対処

最初にできる対処

  • 楽に続けられる日常活動は保ちましょう。症状が強くなる作業は、短い時間に区切ります。
  • まず体幹を小さく楽に動かします。その後、無理なく扱える重さから、運ぶ・持ち上げる動作を増やしましょう。
  • 脇腹へボールを深く押し込む、強く体を横へ倒して伸ばす方法は避けてください。骨盤が傾いて見えるという理由で、自己判断で踵補高を使わないでください。

評価を受ける目安

  • 新たに尿が出なくなる、尿をコントロールできなくなる、サドルが当たる範囲で感覚が鈍くなる、脚の筋力低下が急速に進む場合は、直ちに救急で評価を受けてください。新しい下垂足や続く感覚低下も、速やかな診察が必要です。
  • 脇腹痛に発熱、嘔吐、血尿、排尿時痛が伴う場合は、至急診察を受けてください。
  • 外傷後に新たな強い痛みが出た、動作ができない、原因不明の全身症状がある場合は、医療機関で評価を受けてください。痛みが増し続け、途切れずに続く場合も同様です。

前かがみ、荷物を運ぶ、起き上がる、寝返りといった動作を、測定できる指標にします。「腰方形筋が硬い」、骨盤が左右非対称、サイドプランクが弱いというだけでは、診断はつきません。それだけで踵を高くする補高具を処方する根拠にもなりません。

診察・触診・治療の根拠

筋肉と痛みの図解

腰方形筋(QL)

青色は対象の筋肉を示します。×印は代表的なトリガーポイントの位置、陰影は関連痛が現れる可能性のある範囲です。これらの例は、下に番号付きで示す各ポイントと一対一に対応するものではありません。痛みの広がりには個人差があり、この図だけで原因を診断することはできません。

画像内の表記は英語です。

筋肉と痛みの図解

Quadratus Lumborum · Anatomy and referred pain 1

Representative source regions. The illustrated markers and pain pattern are not individual assignments to the numbered trigger points.

画像内の表記は英語です。

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トリガーポイント

1. TrP1

位置。 腰部、脊椎側面

トリガーポイントの分布図
腰方形筋(QL) — Quadratus Lumborum · Trigger-point examples 1元のサイズで画像を開く

筋肉の領域を示す参考図です。選択した番号のトリガーポイントだけを示す図ではありません。

関連痛の分布図
腰方形筋(QL) — 関連痛の分布図元のサイズで画像を開く

筋肉の領域を示す参考図です。選択した番号のトリガーポイントだけを示す図ではありません。

関連痛。 腰部、股関節、臀部

関連痛のパターン

  • 腰部
  • 腸骨稜
  • 股関節
  • 臀部
  • 鼠径部
  • 外側大腿

この痛みが、どのように感じられるか

姿勢や負荷で変わる場合があります。筋肉や背骨に加えて、運動器以外に原因があることもあります。 繰り返し比較できる動作です。ケアによって日常動作が楽になったかを確かめるのに役立ちます。

患者さんからよく伺うお話

  • 深部腰痛
  • 座位から立位時の痛み
  • 股関節痛
  • ベッドでの寝返りの困難
  • 咳やくしゃみ時の痛み

症状が悪化しやすい状況

  • 座位から立位
  • 側方への曲げ
  • 咳・くしゃみ
  • 長時間の座位
  • リフティング
  • ねじり
関連する運動を見る (7)

患者が訴える症状

片側の腰や腰脇がうずく 姿勢や負荷で変わる場合があります。筋肉や背骨に加えて、運動器以外に原因があることもあります。

寝返りや立ち上がりで痛む 繰り返し比較できる動作です。ケアによって日常動作が楽になったかを確かめるのに役立ちます。

体を横へ倒す、荷物を運ぶと不快になる 複数の体幹筋と関節に負荷がかかります。いつもの症状が出ても、腰方形筋に特有とは限りません。

脇腹に不快感がある 新たに強い脇腹痛が出る、排尿症状や発熱がある、全身状態が悪い場合は、評価せずに背筋が原因と決めつけてはいけません。

よくある原因

慣れない持ち上げ・運搬作業 普段より重い、回数が多い、時間が長い作業で腰痛が出ることがあります。ただし、それだけで組織損傷は証明されません。

同じ姿勢で長く過ごす 楽に感じる範囲で姿勢を変えましょう。腰方形筋痛を防ぐ、誰にでも正しい座位角度はありません。

動く自信や負荷への耐性が低下している 痛みや不活動を経験した後は、少しずつ練習して負荷に慣れていきます。背骨が不安定だと決めつける必要はありません。

睡眠不良や続くストレス 痛みや回復に影響することがあります。身体活動とともに取り組む要素です。

臨床家と指導下の学習者向け

臨床資料

マップは診察する範囲を把握する参考です。患者さんが実際に感じるいつもの痛みを、動き、負荷、神経所見とあわせて記録します。

解剖と触診

解剖学的な位置関係

腰方形筋は後腹壁を構成します。腸骨稜と腸腰靱帯、腰椎横突起、第12肋骨に付着します。体幹を横から制御し、伸展に関わり、呼吸時には一番下にある肋骨を安定させます。[8]

  • 腸骨稜が、この領域を下側から区切ります。
  • 第12肋骨が上側を示す骨性指標です。短い場合もあり、強く押す対象ではありません。
  • 腰方形筋は腰部伸筋群より深く、外側に位置します。背骨横を走る表層のひも状構造ではありません。

周辺の組織。 前方には腎臓と後腹膜組織があります。最下位肋骨付近には肋下部、神経、胸膜反転部があるため、深い圧迫や見えないまま行う侵襲的な処置はセルフケアに適しません。

触診

患者さんの体位。 脇腹症状について運動器以外の原因を確認した後、腰脇と脚を支えて横向きになります。腹部を楽に支えられる場合は、うつ伏せも選択肢です。

解剖学的な目印を確認する

  • 腸骨稜と下位肋骨にそっと触れ、腰部伸筋群の外側縁を確認します。
  • 深い場所に圧痛があるという所見と、腰方形筋に限局した索状硬結(タイトバンド)を確かめた所見は、区別します。

診察の手順

  1. 訓練を受けた医療者が、腰の後外側へ広く接触し、圧を段階的に調整します。患者さんには普段どおり呼吸してもらい、いつもの症状かを尋ねます。
  2. 骨盤を片側だけ少し引き上げる、体を横へ倒すときに軽く収縮させ、脱力時と比べます。領域を把握する参考になりますが、深部線維だけは分離できません。

所見を記録する

  • 圧痛がどこに出るか、いつもの痛みか、局所にとどまるか、離れた場所へ出るかを記録します。日常動作でも再現するかを確認します。
  • 非特異的腰痛に筋圧痛が伴うことはあります。それだけで、特定の治療対象となる一つの病変が見つかるわけではありません。

限界と注意点

  • 一番下にある肋骨の下へ指を押し込まず、腹部や脇腹を深く押さないでください。
  • 鋭い腹部痛・脇腹痛、吐き気、放散する症状、息苦しさが出たら中止します。
  • 触診は腎臓のスクリーニング検査ではありません。骨盤のずれや椎骨不安定性も、確認できません。
[8][3]

診察と検査

3

腰を動かしたときの症状評価[7][4]

臨床で役立つ動作制限を捉え、動きや負荷に反応する腰部症状として説明できるかを調べます。

体位
支えに手が届く場所で立ちます。必要なら、別の楽な姿勢でも確認します。
手技
無理のない範囲で、ゆっくり前に曲げる、後ろへ反らす、横へ倒す動きを比較します。可動域、いつもの痛み、症状が局所にとどまるか広がるかを記録します。再現性をみるときも、耐えられる動きだけを繰り返します。
陽性所見
繰り返し確認される動作制限、または受診理由と関連するいつもの症状変化。
解釈
動作練習を選び、経過を比べる参考になります。症状が遠位へ広がる場合は、評価で優先する内容が変わります。
限界
側屈時痛は腰方形筋に特有の検査ではありません。関節、椎間板、神経、複数の筋肉へ負荷がかかります。腰方形筋トリガーポイントを診断する閾値は確立していません。

負荷を調整した側方支持での持久力課題[4][8]

体幹を横から支える負荷について、繰り返し比べられる初期値を記録します。

体位
クッション性のある面で横向きになり、膝を曲げ、肘を肩の真下に置きます。肩と股関節が耐えられる場合に限ります。
手技
患者さんが骨盤を持ち上げ、呼吸しながら短時間、楽に保ちます。動作品質、症状、保持できる負荷を左右で比較し、姿勢が崩れる前や痛みが増す前に止めます。床で行う負荷が強すぎる場合は、立って壁で支える方法にします。
陽性所見
いつもの痛み、早い段階で姿勢が崩れる、耐えられる努力量に意味のある左右差があるといった所見。
解釈
機能面で練習する目標を見つける課題です。限界が腰痛、肩痛、バランス、全身疲労によるものかを記録します。
限界
機能課題であり、検証済みの腰方形筋診断検査ではありません。多くの体幹筋と股関節筋が働くため、左右差だけで病気とは判断できません。

下肢の神経診察と神経伸張に対する反応[7][5]

腰痛が脚へ広がる場合に、神経が関与していないか調べます。

体位
座位または仰向けで筋力、感覚、反射を調べます。必要に応じて、仰向けで脚を伸ばしたまま軽く持ち上げます。
手技
検者が皮膚分節ごとの感覚、筋節ごとの筋力、反射を比較します。その後、腰を動かした反応も踏まえ、軽く神経へ負荷をかけて、いつもの脚症状を評価します。
陽性所見
客観的な神経機能変化、または病歴と一致するいつもの放散痛。
解釈
腰部や末梢神経をさらに調べる根拠になります。腰方形筋だけに絞った対応にはしません。
限界
一つの神経検査だけでは、原因部位は確定しません。診察が正常でも、筋肉が原因という診断はつきません。

ほかの原因との鑑別

腎感染症や尿管結石[9][10]

判断に役立つ所見。 脇腹痛に発熱、排尿時の灼熱感、血尿、嘔吐が伴う、または鼠径部へ向かって激しい痛みが波状に出る場合です。

次の対応。 至急、医療機関で評価します。脇腹痛をマッサージで取り除こうとしないでください。

腰部からの関連痛や神経根症[5][7]

判断に役立つ所見。 腰を動かすと腰痛・脚痛が変わります。感覚低下、反射変化、筋力低下がある場合は特に確認します。

次の対応。 腰部と神経を診察し、機能低下が進む場合は急いで詳しい評価につなげます。画像検査は、結果が治療方針に影響しそうかで判断します。

股関節や殿筋腱の病気[6]

判断に役立つ所見。 他動で股関節が動きにくく鼠径部が痛む、または横向きや外転筋への負荷で大転子に限局した痛みが出る場合です。

次の対応。 股関節と腱を調べます。離れた腰方形筋から痛みが出ていると決めつけないようにします。

仙腸関節周囲の痛み[7][6]

判断に役立つ所見。 骨盤後部にある関節付近が、特定の移乗動作や荷重で痛む場合、腰部や股関節に関わる病気と症状が重なります。

次の対応。 領域全体を診察し、適切な場合は検者が行う複数の疼痛誘発検査を組み合わせます。見た目で骨盤が傾く、局所を押すと痛むというだけでは、関節変位は診断できません。

治療の選択と進め方

臨床の専門家によるケア

慢性腰痛への短期的な補助としてのドライニードリング[4]

検討する場面。 診察済みの慢性腰痛で、一時的な痛み軽減が運動や活動を支える可能性がある場合。

訓練を受けた医療者が、領域全体と神経を評価してから腰部筋を選びます。ドライニードリングは能動的なケアに併用します。表面に圧痛があっても、深部で針を置く位置は決まりません。

実施量と見直し
個別に調整する、期間を限った試行です。ガイドラインには、単独筋に対する用量や必須の治療コースは定められていません。
段階的な進め方
数日から数週で、歩行、移乗、運搬動作を比較します。圧痛だけが変わり、役立つ活動が改善しなければ終了します。
中止・再評価の目安
新たな脚の筋力低下、感覚低下、感染徴候があれば中止し、再評価します。悪化が続く場合も同様です。
根拠と限界
2021年の腰痛ガイドラインでは、ほかの治療にドライニードリングを加え、短期的な痛みと機能障害を軽減する選択肢として検討しています。腰部全体についての根拠です。腰方形筋だけを処置して筋活動が戻る、効果が長く続くとは示していません。

臨床の専門家によるケア

診察で確認した腰方形筋周囲の筋筋膜性症状に対する放射状衝撃波[1][2]

検討する場面。 脇腹、股関節、神経に関わる原因を検討したうえで、腰方形筋に一致する所見がある、続く腰痛。

医療者が後腹壁で対象を位置づけ、近くにある肋骨、腎臓、神経、血管を確認してから照射条件を選びます。症状軽減を、耐えられる活動と組み合わせます。

実施量と見直し
小規模な無作為化試験では5回施行と報告されていますが、施行時期に矛盾した記述があります。そのため、ここでは日程や装置設定を採用しません。
段階的な進め方
2〜4週後に、移乗、歩行、荷物を運ぶときの痛みを再確認します。追加施行を決める前に、機能を評価します。
中止・再評価の目安
排尿症状、全身症状、新しい神経機能低下があれば、局所治療を繰り返すのではなく再評価します。
根拠と限界
54人を対象とした比較では、2週時点の痛みと機能障害は、副腎皮質ステロイド・リドカイン注射で良好でした。4週時点の機能障害とQOLは体外衝撃波療法で良好でした。ただし、偽治療との比較がなく、追跡期間も短いため、結論には限界があります。別の30人を対象とした後ろ向き研究では、体外衝撃波療法で痛みがより改善しましたが、機能障害に差はありませんでした。

セルフケアと活動

無理のない量に分けて活動を保つ[5][4]

検討する場面。 診察済みの非特異的腰痛で、危険徴候がない場合。

歩行、調理、短い仕事など、役立つ活動を選びます。楽に続けられる時間に区切り、姿勢を変えましょう。大量に運ぶときは小分けにして、体へ近づけて持ちます。

実施量と見直し
例として、短い散歩や作業を1日に何度か行います。症状が長く強まる時間に達する前に区切って始めます。腰方形筋に特有の予定表は検証されていません。
段階的な進め方
何度か無理なく行えたら、時間や負荷を少し増やします。翌日の反応もみながら調整しましょう。
中止・再評価の目安
新たな脚の筋力低下、広がる神経症状、全身症状や脇腹症状があれば、再評価します。
根拠と限界
腰痛ガイドラインは、能動的な自己管理を支持しています。特定の姿勢や運び方が腰方形筋トリガーポイントを防ぐとは示していません。

運動とリハビリテーション

楽に動かせる体幹運動を探す[4]

検討する場面。 動くとこわばるものの、小さな動きなら楽に行える場合。

支えを使って座るか立ち、ゆっくり少しだけ左右へ倒して戻します。膝と手首が耐えられれば、四つ這いで体を少し後ろへ引く方法も選べます。無理に伸ばさず、動きやすくなる運動を選びましょう。

実施量と見直し
例として、ゆっくり5回、1日1〜2回行います。腰部リハビリテーションから応用した方法であり、検証済みの腰方形筋治療量ではありません。
段階的な進め方
少しずつ動かす範囲を広げ、手を伸ばす、起き上がるといった課題につなげます。
中止・再評価の目安
鋭い痛み、脚へ広がる症状、長く続く悪化を起こす方向は中止します。
根拠と限界
動作練習は、活動や自信を支える可能性があります。ここで挙げた根拠は、腰方形筋だけを伸ばすと骨盤異常が直るとは示していません。

運動とリハビリテーション

体幹を横から支える持久力をつける[4]

検討する場面。 負荷を増やす準備が整い、運搬や長時間立つことに難しさがある方。

まず立って前腕を壁につけ、足を少し壁から離して側方支持します。呼吸を続け、体を無理なく一直線に保ちましょう。肩と股関節が耐えられれば、医療者が膝支持で横向きに体を持ち上げる方法へ進めます。

実施量と見直し
例として、左右それぞれ5〜10秒保持を3回、1日おきに行います。試験で検証された腰方形筋専用の手順ではありません。
段階的な進め方
まず楽に保持できる時間を延ばし、その後でてこの長さや外部負荷を増やします。最後に、日常生活で使う軽い荷物を運ぶ練習につなげます。
中止・再評価の目安
翌朝も症状が強ければ負荷を下げます。放散痛、または動き方が変わる肩痛・股関節痛があれば中止してください。
根拠と限界
体幹筋力と持久力を高める運動は、一部の腰痛で支持されています。側方支持では多くの筋肉が働き、腰方形筋だけには絞れません。

臨床の専門家によるケア

慢性腰痛に対する腰部マッサージ[11]

検討する場面。 診察済みの非特異的な慢性腰痛で、歩行、前かがみ、椅子から立つ動作に、明確な制限がある場合。根拠は腰部全体についてであり、単独筋を診断したものではありません。

楽なうつ伏せか横向きで、医療者が触れられる腰部後面を、ゆっくりさする・揉む方法を使うことがあります。その後、選んだ活動をもう一度行います。この接触方法は、領域を対象とするマッサージを臨床で応用したものです。腹部や脇腹を深く押す必要はなく、表面の圧痛だけで腰方形筋が原因とは確認できません。

実施量と見直し
試験では週1回、計10回行い、初回75〜90分、その後50〜60分でした。研究された例として扱い、期間を限った施行について相談します。機能障害と日常活動は、早い段階で見直します。
段階的な進め方
選んだ活動と機能障害指標を記録し、日常機能まで楽になる場合に限って続けます。動きやすい時間を使って、耐えられる活動を練習します。
中止・再評価の目安
症状悪化が続く、繰り返しケアしても役立つ機能改善がない場合は終了します。新たな脚の筋力低下、広がる感覚低下、ほかの神経変化があれば再評価します。
根拠と限界
解析対象401人では、リラクゼーションマッサージと構造的マッサージにより、10週時点のローランド機能障害スコアが通常ケアよりそれぞれ2.9点、2.5点良好でした。26週では機能差が小さくなり、症状差は26週・52週で有意ではありませんでした。構造的マッサージに意味のある優位性はなく、単独の腰部筋を調べた研究でもありません。

再評価と経過観察

  • 同じ椅子から立つ、寝返り、軽いバッグを運ぶ、歩くなどから2課題を選びます。同様の条件で、痛みと動きやすさを比較します。
  • 痛みの点数だけでなく、分布、神経症状、排尿症状に変化がないかを記録します。
  • 同じ支えと姿勢で、耐えられる体幹運動や持久力課題を繰り返します。変化は、領域全体の機能として解釈します。
  • 合意した能動的ケアを試しても機能が改善しなければ、診断、活動量、睡眠、回復を妨げる要素を見直します。単に圧を強くする対応にはしません。

根拠と出典

  1. Eftekharsadat et al. Comparison of efficacy of corticosteroid injection versus extracorporeal shock wave therapy on inferior trigger points in the quadratus lumborum muscle

    2020 · 無作為化臨床試験

    慢性腰痛と腰方形筋下部にトリガーポイントがある54人を対象に、放射状体外衝撃波療法と副腎皮質ステロイド・リドカイン注射を比較しました。助言とストレッチも併用しています。追跡期間が短く、施行時期に矛盾した記述があるため、日程を治療手順として採用できません。

  2. Hong et al. Extracorporeal Shock Wave Therapy Versus Trigger Point Injection in the Treatment of Myofascial Pain Syndrome in the Quadratus Lumborum

    2017 · 後ろ向き比較研究

    30人を後ろ向きに比較した研究です。体外衝撃波療法で痛みがより改善しましたが、機能障害に明確な差はありませんでした。割り付けが無作為ではないため、因果関係を判断するには限界があります。

  3. International Consensus on Diagnostic Criteria and Clinical Considerations of Myofascial Trigger Points: A Delphi Study

    2018 · デルファイ法による専門家合意

    専門家が合意した基準と、患者さんがいつもの症状を認識することについてです。診断を確定する標準検査や、固定された関連痛マップではありません。

  4. Interventions for the Management of Acute and Chronic Low Back Pain: Revision 2021

    2021 · 診療ガイドライン

    腰部全体を対象とするリハビリテーション推奨です。腰方形筋だけにある機能不全や、専用運動量を検証した研究ではありません。

  5. Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management

    2020 · 診療ガイドライン

    診察、活動継続、必要性を選別した画像検査、運動と組み合わせた徒手療法についてです。

  6. Hip Pain in Adults: Evaluation and Differential Diagnosis

    2021 · 専門的な臨床レビュー

    股関節、腰部、殿部後面を含む鑑別です。診察所見はまとめて解釈する必要があります。

  7. Approach to Musculoskeletal Examination

    2021 · 診察に関する教科書

    領域全体を調べる診察法です。一般的な運動・筋力所見は、トリガーポイント診断検査ではありません。

  8. Anatomy, Abdomen and Pelvis, Quadratus Lumborum

    2024 · 臨床解剖学の参考資料

    後腹壁と近隣組織についての解剖資料です。腰方形筋を触診で診断する検査を裏づけたものではありません。

  9. Kidney infection

    2025 · 英国NHSの患者向け情報

    医療機関で評価すべき排尿症状と全身症状についてです。

  10. Kidney stones: Symptoms

    2022 · 英国NHSの患者向け情報

    脇腹痛・鼠径部痛、嘔吐、排尿に関わる危険徴候を示します。

  11. A comparison of the effects of 2 types of massage and usual care on chronic low back pain: a randomized, controlled trial

    2011 · 無作為化試験

    非特異的な慢性腰痛がある401人を解析し、週1回、計10回のリラクゼーションまたは構造的マッサージを通常ケアと比較しました。10週ではローランド機能障害スコアがそれぞれ2.9点、2.5点良好でした。26週では機能差が小さく、症状差は26週・52週で有意ではありませんでした。腰方形筋、脊柱起立筋、多裂筋それぞれ単独の効果は示していません。

関連するトリガーポイント