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Atlas · 股関節

中殿筋

中殿筋は、歩く、階段を上る、片脚で立つといった場面で骨盤を支える筋肉です。上部の筋腹に出る圧痛と、股関節外側の腱の痛みは、別のものとして考えます。横向きで寝たときや階段を上るときに痛む場合は、痛む骨のあたりを繰り返しマッサージするより、殿筋の腱の評価が必要になることがよくあります。

中殿筋
身体部位
股関節
トリガーポイント
4
この筋に記載
よくある症状
4
記録されたパターン
よくある原因
4
関連する因子

筋肉の概要

症状と最初の対処

最初にできる対処

  • 横向きで寝るときは、上側の脚を枕で支え、痛む股関節に直接体重がかからないようにしてください。
  • とくに痛みを強める坂道や階段は一時的に控えめにして、楽に歩ける範囲は続けましょう。
  • 軽い外転筋の運動から始め、動作のしやすさと翌日の反応を見ながら進めます。大転子の上を強くローラーで転がすのは避けてください。

評価を受ける目安

  • 転倒後に体重をかけられない、股関節が熱を持って腫れている、発熱があるといった場合は、至急診察を受けてください。
  • 新たに目立つ跛行(足を引きずる歩き方)が出た、外転筋の力が大きく落ちた、鼠径部の痛みが続く、股関節の手術後に痛みが出た、という場合は、医療機関での評価が必要です。
  • 新たに尿が出せなくなった、または制御できなくなった、会陰部(サドル領域)の感覚が鈍い、脚の力が急速に落ちてきた、という場合は、救急で受診してください。新たに足先が持ち上がらなくなった(下垂足)、しびれが続く、という場合も、速やかに評価を受ける必要があります。

腸骨稜の下にある筋腹と、大転子まわりの腱は分けて確認します。片脚立ちで痛む場合は、腱の評価を裏づける材料になり得ます。一方、骨盤が下がるのは機能面の所見で、原因として考えられるものはいくつもあります。

診察・触診・治療の根拠

筋肉と痛みの図解

中殿筋

青色は対象の筋肉を示します。×印は代表的なトリガーポイントの位置、陰影は関連痛が現れる可能性のある範囲です。これらの例は、下に番号付きで示す各ポイントと一対一に対応するものではありません。痛みの広がりには個人差があり、この図だけで原因を診断することはできません。

画像内の表記は英語です。

筋肉と痛みの図解

Gluteus Medius · Trigger-point examples 1

Representative source regions. The illustrated markers and pain pattern are not individual assignments to the numbered trigger points.

画像内の表記は英語です。

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トリガーポイント

1. TrP1

位置。 股関節外側、臀部上部

トリガーポイントの分布図
中殿筋 — Gluteus Medius · Trigger-point examples 1元のサイズで画像を開く

筋肉の領域を示す参考図です。選択した番号のトリガーポイントだけを示す図ではありません。

関連痛の分布図
中殿筋 — 関連痛の分布図元のサイズで画像を開く

筋肉の領域を示す参考図です。選択した番号のトリガーポイントだけを示す図ではありません。

関連痛。 股関節外側、腰部、大腿外側

関連痛のパターン

  • 股関節外側
  • 腰部
  • 大腿外側
  • 臀部
  • 仙腸関節付近

この痛みが、どのように感じられるか

歩行や慣れない負荷に伴って出ることがあります。圧痛だけでは、筋肉の痛みか、近くの組織の痛みかを見分けられません。 痛い側を下にして寝たとき、あるいは上側の膝が内側に倒れたときの痛みは、圧迫に敏感な殿筋腱を考える役立つ手がかりです。

患者さんからよく伺うお話

  • 股関節外側の痛み
  • 横向きに寝ると痛い
  • 腰の鈍痛
  • 大腿外側の痛み
  • 歩行困難

症状が悪化しやすい状況

  • 患側を下にした側臥位
  • 歩行
  • ランニング
  • 片脚動作
  • 長時間の立位
関連する運動を見る (25)

患者が訴える症状

お尻の外側上部のうずき 歩行や慣れない負荷に伴って出ることがあります。圧痛だけでは、筋肉の痛みか、近くの組織の痛みかを見分けられません。

ベッドで股関節の外側が痛む 痛い側を下にして寝たとき、あるいは上側の膝が内側に倒れたときの痛みは、圧迫に敏感な殿筋腱を考える役立つ手がかりです。

階段や片脚での動作がつらい 痛み、手すりを使うかどうか、足を引きずるかどうかを記録します。これらの動作は、股関節を外へ開く筋群の全体に負荷をかけます。

太ももや腰へ広がるうずき 関連痛が重なって現れることもあります。症状や診察の所見がそちらを示す場合は、脊椎や股関節そのものも評価します。

よくある原因

歩く量や走る量の変化 坂道、スピード、距離が増えると、今の対応力を超えることがあります。だからといって、筋肉が傷んでいるとは限りません。

股関節外側への持続的な圧迫 脚を組む、横向きで寝る、片脚に体重をかけて立つといった姿勢で、症状のある腱が悪化することがあります。

活動の低下や手術後に落ちた対応力 リハビリテーションは、手術の内容と診察の所見に合わせて行います。筋力が落ちているからといって、それが自動的にトリガーポイントを意味するわけではありません。

負荷の大きい日と日の間の回復不足 活動と症状を日記につけると、調整できる繰り返しの負荷が見えてくることがあります。理想的な骨盤の姿勢が一つだけ決まっているわけではありません。

臨床家と指導下の学習者向け

臨床資料

マップは診察の見当をつけるために使います。いつもの痛みが実際にどこへ広がるかを、動作、負荷、神経学的な所見とあわせて記録してください。

解剖と触診

解剖学的な位置関係

中殿筋は、腸骨稜の下にある腸骨の外側面から扇状に広がり、大転子の外側面と後上方に付着します。股関節を外転させ、片脚で立つときに骨盤の制御を助けます。前部と後部は、股関節の肢位によって、回旋への関わり方が異なります。[4]

  • 腸骨稜:骨盤の上縁で、筋腹より上にあります。
  • 大転子:腱の付着部にあたる、外側の骨の目印です。
  • 後部の線維は一部が大殿筋に覆われ、前部の線維は大腿筋膜張筋の後ろに位置します。

周辺の組織。 小殿筋は中殿筋の深層にあります。上殿神経と血管は両者の層の間を通り、大転子の近くには腱、滑液包、腸脛靱帯があります。

触診

患者さんの体位。 楽なほうを下にして横向きに寝ます。股関節が内転方向に引っ張られないよう、上側の脚を支えます。

解剖学的な目印を確認する

  • 腸骨稜をたどり、股関節をやさしく回旋させて大転子を見つけます。
  • 腸骨稜の下の肉厚な部分と、大転子にある腱の領域は、別々に調べます。

診察の手順

  1. 上外側の筋肉に、広い面でやさしく触れます。力を抑えた短い外転運動を加えると、筋肉の境界をつかみやすくなる場合があります。
  2. 筋肉の局所的な圧痛と、腱の領域に軽く触れたときに出るいつもの大転子部の痛みを比べて、正確な部位を記録します。

所見を記録する

  • 敏感な筋の帯状の部分でいつもの痛みが出る場合は、筋筋膜性の要因が関わっている可能性を支持することがあります。
  • 大転子に限局した圧痛があり、腱に負荷をかけると痛む場合は、筋腹にも痛みがあったとしても、腱を中心とした診察が必要です。

限界と注意点

  • 股関節外側の圧痛を、すべて滑液包炎やトリガーポイントと決めつけないでください。
  • 大転子や手術後間もない組織を、強く繰り返し押すのは避けてください。
  • 触診で断裂を確かめることはできず、深部の小殿筋と中殿筋を確実に見分けることもできません。
[4][3][6]

診察と検査

3

股関節外転の抵抗テスト[6][5][11]

股関節外側の筋・腱の群を評価し、痛みのために力を出しにくい状態と、はっきりした筋力低下を見分けます。

体位
症状のある脚を上にして、反対側を下に横向きに寝ます。股関節はほぼ中間位に保ち、骨盤を支えます。横向きで痛む場合は、仰向けで代用します。
手技
医療者が骨盤を安定させ、上側の脚を体の中心から離す方向へ持ち上げる動きに、少しずつ抵抗を加えます。痛む場所、力の入り方、体幹を使った代償の動きを、反対側と比べます。
陽性所見
いつもの股関節外側の痛みが再現される場合、または、同じ条件で比べて力がはっきり低下している場合です。
解釈
負荷をかけて大転子部が痛む場合は、殿筋腱障害が疑われます。はっきりした筋力低下があれば、腱断裂や神経の障害の有無を評価します。
限界
中殿筋、小殿筋、そのほかの筋肉が関わっており、痛みで力が出にくくなることもあります。この検査で小殿筋だけを切り分けることも、トリガーポイントを特定することも、断裂を証明することもできません。

片脚立ちとトレンデレンブルグ徴候の観察[6][5]

負荷がかかったときに出るいつもの股関節外側の痛みと、骨盤をうまく制御できないという別の問題を見分けます。

体位
カウンターのそばに立ち、転倒しないよう医療者が付き添います。
手技
反対の足を上げ、無理がなければ最長30秒まで、症状のある脚で立ちます。いつもの痛みとその出始め、骨盤の下がり、体幹の傾き、必要とした支えを記録し、反対の脚でも繰り返します。
陽性所見
保持している間に股関節外側が痛むことが、痛みの誘発所見です。反対側の骨盤が下がる、体幹が大きく傾くといった様子は、それとは別の、機能面での観察になります。
解釈
痛みは、殿筋腱が関わる病態の評価に役立ちます。骨盤の下がりは、外転筋への負担にうまく対応できていないことを示すため原因を調べる必要があり、再評価するときの機能の基準にもなります。
限界
30秒の方法は、症状のある少人数の集団で、MRIを基準として検討されました。バランス、痛み、股関節の病気、神経学的な要因が結果に影響します。骨盤の下がりは、トリガーポイントの徴候ではありません。

他動的な股関節の回旋と関節のスクリーニング[5][11]

股関節外側の症状に、関節が関わっているかどうかを確かめます。

体位
仰向けで骨盤を支え、股関節と膝は医療者が動かして位置を整えます。
手技
やさしく他動で内旋、外旋、屈曲を行い、左右で比べます。動きが制限される点で、鼠径部の痛みや外側の痛みが再現されるのか、痛みのないこわばった可動域の終わりなのかに注目します。
陽性所見
いつもの鼠径部の痛み、他動可動域のはっきりした制限、または痛みを伴う引っかかり感がみられます。
解釈
股関節の病気を鑑別に加える根拠が強まり、運動の選び方が変わったり、追加の評価につながったりすることがあります。
限界
可動域の低下や痛みは、関節炎や関節唇の病変に特異的なものではありません。殿筋のトリガーポイントを確定できる他動テストもありません。

ほかの原因との鑑別

殿筋腱障害・大転子部痛症候群[6][5]

判断に役立つ所見。 外側の骨に限局した圧痛、横向きで寝たときの痛み、外転筋への負荷や片脚立ちで出るいつもの痛みがみられます。

次の対応。 腱の評価を複数の所見を組み合わせて行い、適切な負荷管理を始めます。著しい筋力低下が続く場合は、断裂の有無を調べる画像検査を行う理由になることがあります。

変形性股関節症やそのほかの関節疾患[5]

判断に役立つ所見。 鼠径部の痛みに加えて、他動的な回旋の低下、こわばり、靴下をはくときの難しさがみられます。

次の対応。 股関節外側を手当たり次第に伸ばすのではなく、関節の可動域と機能を評価します。

腰からの関連痛・神経根症[10][11]

判断に役立つ所見。 腰に関連した症状、腰の動きで変わる痛み、脚の感覚・反射・筋力の低下がみられます。

次の対応。 腰部と神経学的な診察を行います。客観的に確認できる神経の症状が進行している場合は、速やかに次の対応へ進みます。

治療の選択と進め方

臨床の専門家によるケア

持続する殿筋腱の痛み・大転子部痛症候群への集束型体外衝撃波治療[1]

検討する場面。 殿筋腱障害または大転子部痛症候群と評価された、股関節外側の痛みが続く場合です。とくに、負荷を調整するケアだけでは十分でなかったときが対象になります。

医療者が症状のある腱・大転子部の領域を見定め、段階的な負荷プログラムと並行して、集束型の体外衝撃波治療(ESWT)を行います。筋腹の圧痛だけでは、この腱を対象とした治療の流れを選ぶ根拠にはなりません。

実施量と見直し
103人の試験では、運動と併用して、週1回の施行を3回行いました。ここでの記載は試験の内容を述べたもので、最適な用量を示すものではありません。
段階的な進め方
6〜8週のころに、夜間の痛み、横向きで寝ること、歩行や階段の動作を見直します。無理のない範囲で、腱への段階的な負荷を続けます。
中止・再評価の目安
外転筋の著しい筋力低下、新たに体重をかけられなくなる、機能の悪化がある場合は、続ける前に再評価してください。
根拠と限界
2か月の時点で、平均の痛みは10点満点で、集束型ESWT群が2.0、低エネルギーの偽処置群が4.7でした(開始時は両群とも6.3)。機能面の結果も、6か月までおおむね治療群に有利でした。これらは大転子部痛症候群に対する結果であり、中殿筋・小殿筋のトリガーポイントを選んで解除した結果ではありません。

臨床の専門家によるケア

評価された大転子部痛症候群に対する、処置の選択肢としてのドライニードリング[2]

検討する場面。 大転子部痛症候群と診断され、患者さんと医療者が、ドライニードリングか副腎皮質ステロイド注射を検討している場合です。

股関節周辺の診察で対象を絞り、負荷管理を続けながら、期間を区切ってドライニードリングを試すかどうかを話し合います。この試験は特定の殿筋を切り分けたものではなく、腱の修復を示したものでもありません。

実施量と見直し
小規模な試験では、治療と観察が6週間にわたって行われました。そこから、全員に共通する治療回数を導くことはできません。
段階的な進め方
階段や歩行など、患者さんが選んだ動作を3〜6週のあいだに確認し、さらに処置を重ねて得られる利益があるかどうかを判断します。
中止・再評価の目安
痛みの増強が続く、新たな神経症状が出る、筋力低下が進行する場合は、再評価してください。
根拠と限界
43人(50股関節)の試験で、ドライニードリングは、6週時点の痛みと機能について、コルチゾン注射に対する事前に定めた非劣性の基準を満たしました。運動のみとは比較されておらず、優位性が長く続くことを示すものでもありません。

セルフケアと活動

痛みの出る股関節外側への圧迫を減らす[7]

検討する場面。 横向きで寝る、脚を組む、片脚に体重をかけて立つといったことで、外側の痛みが強まる場合です。とくに腱障害が疑われるときに向いています。

仰向けに寝るか、楽なほうを下にして、両膝と両足首を枕で支えてみてください。痛む上側の股関節が、体の中心線を越えて下へ落ちないようにします。片脚で長く立ち続けないよう途中で休み、痛みの出る坂道や階段の時間は一時的に短くします。

実施量と見直し
痛みが出やすい動作のときと睡眠中に取り入れます。変える内容は、楽かどうかを基準に選んでください。トリガーポイントに特化した、確立された実施スケジュールはありません。
段階的な進め方
歩行時と翌朝の症状が落ち着くにつれて、症状を誘発する活動を一つずつ再開します。
中止・再評価の目安
痛みが増す姿勢はやめてください。圧痛のある大転子の上では、硬いローラーや、ボールによる持続的な圧迫を使わないでください。
根拠と限界
負荷管理についての説明は、効果が得られた殿筋腱障害のプログラムの一部でした。それだけで効果があるのかどうか、また筋肉だけに圧痛がある場合に役立つのかどうかは、はっきりしていません。

運動とリハビリテーション

耐えられる範囲の股関節外転筋への負荷から始める[7]

検討する場面。 軽い収縮ならできるものの、片脚での動作を繰り返すには過敏すぎる股関節外側に向いています。

仰向けで膝を曲げ、足を少し離して置きます。膝の上に軽いループ状のバンドを巻き、骨盤を動かさず、膝が内側に倒れないようにしながら、膝をそっと外へ押します。力は軽くし、呼吸は普段どおりにします。

実施量と見直し
開始時の一例として、10〜20秒の穏やかな保持を、休みをはさんで4回、1日1回行います。これは股関節周辺のリハビリテーションの例であり、中殿筋・小殿筋のトリガーポイントに対して検証された方法ではありません。
段階的な進め方
回数や抵抗を増やす前に、楽に力を出せる強さを育てます。翌朝の状態が悪化していなければ、立った姿勢での外転へ進みます。
中止・再評価の目安
睡眠や翌日の痛みが悪化したら、負荷を軽くしてください。鼠径部の鋭い痛み、広がるピリピリ感、新たな筋力低下があれば中止します。
根拠と限界
診断が確定した殿筋腱障害では運動に利益がありますが、トリガーポイントに対して、特定の収縮の種類や、この具体的な量が優れていると確立されたわけではありません。

運動とリハビリテーション

歩行と踏み台昇降の力をつける[7][5]

検討する場面。 症状は良くなってきたものの、階段、長めの歩行、片脚での動作に難しさが残っている場合です。

カウンターにつかまり、低い段をゆっくり上り下りする練習をします。働かせるほうの膝に無理がないようにし、体幹を大きく傾けず、必要なら手すりを使います。目立つ跛行が出る前に切り上げる平地の歩行も、組み合わせます。

実施量と見直し
一例として、6〜8回の踏み台昇降を1〜2セット、1日おきに行い、短く楽な歩行を加えます。普段の対応力に合わせて調整してください。公表された試験の方法そのものではありません。
段階的な進め方
数回の練習を無理なくこなせたら、回数、段の高さ、歩く時間のうち一つだけを増やし、夜間と翌日の症状を確認します。
中止・再評価の目安
体重をかけると鋭く痛む、脚が何度もがくんと抜ける、症状が日をまたいで積み重なるといった場合は、中止してください。
根拠と限界
股関節周辺のリハビリテーションに見られる、段階的に負荷を高める考え方を当てはめたものです。下肢全体を鍛える運動であり、深部の筋肉だけを選んで解除したり、痛みの原因となった組織を証明したりするものではありません。

臨床の専門家によるケア

持続する殿筋腱の痛みへのPRP(多血小板血漿)[8][9][7]

検討する場面。 臨床的に殿筋腱障害または大転子部痛症候群と評価された痛みが続き、負荷プログラムと腱断裂の可能性を見直したうえで、PRPを検討している場合です。

腱と滑液包の所見、これまでのリハビリテーション、最も影響を受けている活動を確認します。結果が食い違っている注射の試験、見込まれる費用と負担、積極的なケアを続ける・見直すという選択肢について話し合ったうえで、PRPを行うかどうかを決めます。

実施量と見直し
2018年の試験では、超音波ガイド下で腱内にPRPを1回注射した群と、副腎皮質ステロイドを1回注射した群を比べました。2025年のプラセボ対照試験では、大転子滑液包と中殿筋腱が対象でした。追加の処置は、臨床的な反応を見直したうえで検討します。
段階的な進め方
横向きで寝たときの痛み、歩行や階段の耐えやすさ、股関節の機能を記録します。処置を選んだ場合は、適切な負荷プログラムを続けながら、6〜12週の時点と6か月の時点で、実際に役立つ改善があるかを再評価します。
中止・再評価の目安
処置の前に、進行する筋力低下、悪化する跛行、新たに体重をかけられない状態がある場合は、再評価してください。注射のあとに発熱、広がる赤み、急に強まる痛みが出た場合は、速やかに医師の診察を受ける必要があります。
根拠と限界
80人の試験では、12週時点の股関節機能でPRPが副腎皮質ステロイドより有利でした。その後に行われた、難治性の大転子部痛症候群の79人を対象としたプラセボ対照試験では、白血球を多く含むPRPによる追加の利益は、6か月まで有意には認められませんでした。対象部位と比較対照が異なるため、直接比べることには限界があります。現時点の知見は、大転子部痛症候群に対するPRPの定型的な治療コースを支持せず、中殿筋・小殿筋だけの筋肉への効果を示すものでもありません。

臨床の専門家によるケア

腱か筋肉かに合わせて、個別のリハビリテーション計画を立てる[7][5]

検討する場面。 股関節外側の痛みが続く、明らかな跛行がある、手術後に筋力が落ちている、あるいは腱と筋肉のどちらが関わっているのか不確かな場合です。

理学療法士が、痛む場所を確認し、外転筋の力と歩行・段差動作の機能を測ったうえで、耐えられる負荷と活動の調整を選びます。大きな腱断裂が疑われる場合は、負荷を進める前に医師が評価します。

実施量と見直し
通院の頻度は、必要に応じて決まります。LEAP試験では、8週間にわたり、指導つきのセッションを14回行いました。これは研究のプログラムであり、必ず守るべき処方ではありません。
段階的な進め方
基本的な機能が良くなってきたら、支えのある負荷から、必要な階段、荷物を運ぶ動作、スポーツで求められる動きへと進めます。
中止・再評価の目安
痛みや筋力低下が悪化したり、改善が日常の活動に結びつかなかったりする場合は、再評価してください。終わりの見えない、受け身の治療の繰り返しは避けます。
根拠と限界
説明・教育と運動の組み合わせには、持続する殿筋腱障害に対する直接の裏づけがあります。徒手によるトリガーポイント解除を裏づけるものではなく、筋肉だけの痛みで同じ結果が得られることを保証するものでもありません。

再評価と経過観察

  • 横向きで寝ているときの睡眠の中断、歩ける時間、階段での痛みを、それぞれ別々に記録します。
  • 同じ姿勢での抵抗をかけた外転と、支えのある片脚動作を繰り返し、力、痛み、必要な支えを記録します。
  • トレーニングは、マッサージ直後の圧痛ではなく、翌朝の症状を目安に調整します。
  • 大きな筋力低下が続く、体重を支えられなくなる、新たに鼠径部や神経の症状が出るといった場合は、鑑別をもう一度見直します。

根拠と出典

  1. Ramon et al. Focused Shockwave Treatment for Greater Trochanteric Pain Syndrome: A Multicenter, Randomized, Controlled Clinical Trial

    2020 · 無作為化臨床試験

    大転子部痛症候群の患者103人を対象に、集束型ESWTを週1回、計3回行い運動を併用した群を、低エネルギーの偽処置と運動を併用した群と比べました。2か月時点の痛みは10点満点で2.0対4.7(開始時は両群とも6.3)で、機能は6か月まで追跡されています。腱・大転子部痛症候群に対する根拠であり、筋肉内の一点だけに対する有効性を示すものではありません。

  2. Brennan et al. Dry Needling Versus Cortisone Injection in the Treatment of Greater Trochanteric Pain Syndrome

    2017 · 無作為化臨床試験

    43人(50股関節)。6週時点の痛みと、患者ごとに選んだ機能について、ドライニードリングはコルチゾン注射に対して非劣性でした。実薬を対照とした小規模な試験で、運動のみとの比較はなく、特定の筋肉についての推論もできません。

  3. International Consensus on Diagnostic Criteria and Clinical Considerations of Myofascial Trigger Points: A Delphi Study

    2018 · デルファイ法による専門家合意

    専門家の基準と、いつもの症状を見分けることを扱っています。診断の確立した基準も、固定された関連痛マップもありません。

  4. Anatomy, Bony Pelvis and Lower Limb, Hip

    2023 · 臨床解剖学の参考資料

    付着部、筋どうしの位置関係、部位ごとの診察を扱っています。解剖学の情報だけでは、痛みの発生源は確定しません。

  5. Hip Pain in Adults: Evaluation and Differential Diagnosis

    2021 · 専門的な臨床レビュー

    股関節、腰部、お尻の後方の鑑別を扱っています。診察の所見は、あわせて解釈する必要があります。

  6. Utility of clinical tests to diagnose MRI-confirmed gluteal tendinopathy in patients presenting with lateral hip pain

    2017 · 診断研究

    股関節外側の痛みがある65人を対象とし、MRIを基準としています。サンプルが小さいため、確実性には限りがあります。検査が対象とするのは腱障害であり、筋肉のトリガーポイントではありません。

  7. Education plus exercise versus corticosteroid injection use versus a wait and see approach on global outcome and pain from gluteal tendinopathy

    2018 · 無作為化臨床試験

    臨床所見とMRIで確認された、持続する殿筋腱障害の成人204人。この病態に対する説明・教育と運動を支持するもので、トリガーポイント解除を支持するものではありません。

  8. Efficacy of Platelet-Rich Plasma Versus Placebo for the Treatment of Greater Trochanteric Pain Syndrome: A Double-Blinded Randomized Controlled Trial

    2025 · プラセボ対照無作為化試験

    滑液包炎または殿筋腱障害(もしくはその両方)による難治性の大転子部痛症候群で、解析対象となった79人。超音波ガイド下で、白血球を多く含むPRPを大転子滑液包と中殿筋腱に注入しましたが、プラセボを有意には上回りませんでした。対照を置いた結論は6か月までを対象としています。これは腱と滑液包という部位への介入であり、筋肉だけに針を刺す方法ではありません。

  9. The Effectiveness of Platelet-Rich Plasma Injections in Gluteal Tendinopathy: A Randomized, Double-Blind Controlled Trial Comparing a Single Platelet-Rich Plasma Injection With a Single Corticosteroid Injection

    2018 · 実薬・実治療対照無作為化試験

    慢性の、臨床的および画像的に診断された殿筋腱障害の80人。全層断裂は除外されています。超音波ガイド下の腱内PRP注射1回と、副腎皮質ステロイド注射1回を比較し、mHHSは12週時点でPRPが有利でしたが、2週時点と6週時点では有意な差はありませんでした。プラセボを置いた比較はありません。

  10. Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management

    2020 · 診療ガイドライン

    評価、活動の継続、画像検査の選択的な使用、運動プログラムの一部としての徒手療法を扱っています。

  11. Approach to Musculoskeletal Examination

    2021 · 診察に関する教科書

    部位ごとの診察手技を扱っています。一般的な動作や筋力の所見は、トリガーポイントを診断する検査ではありません。

関連するトリガーポイント