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Atlas · 前腕

円回内筋

円回内筋は前腕の近位前面を横切り、手のひらを下に向ける働きがあります。回す際の局所痛と、正中神経の近位部に関わる症状が併存することがあります。ただし、筋肉に圧痛があるだけでは神経圧迫とは判断できません。

円回内筋
身体部位
前腕
トリガーポイント
2
この筋に記載
よくある症状
3
記録されたパターン
よくある原因
3
関連する因子

筋肉の概要

症状と最初の対処

最初にできる対処

  • 強くひねる動作の繰り返しを一時的に減らしてください。
  • 前腕を楽な位置に保ち、作業を適宜切り替えてください。
  • 肘のしわや、前腕掌側の肘に近い部分を強く押さないでください。

評価を受ける目安

  • しびれの進行、親指や指の筋力低下、物を取り落とす症状があれば、早めに評価を受けてください。
  • けがの後に前腕が腫れて痛む場合や、指を動かすと強く痛む場合は、至急診察を受けてください。

近位部で正中神経が絞扼される場合、手のひらの母指球にも感覚症状が及ぶことがあります。手根管症候群では、この領域の感覚が保たれることがよくあります。一つの圧迫テストで診断せず、症状が分布する範囲を比べます。

診察・触診・治療の根拠

筋肉と痛みの図解

Pronator Teres · Regional source example

Right pronator teres: one proximal source example and its radial wrist/forearm pain pattern. Travell and Simons, Fig. 38.1D, p. 757. Regional illustration; not an individual map of a selected numbered point.

画像内の表記は英語です。

元のサイズで画像を開く

トリガーポイント

1. TrP1

位置。 肘近傍の前腕内側

トリガーポイントの分布図
円回内筋 — トリガーポイントの分布図元のサイズで画像を開く

この筋肉で共通の図です。複数のトリガーポイントが示されている場合があります。

関連痛の分布図
円回内筋 — Pronator Teres · Regional source example元のサイズで画像を開く

筋肉の領域を示す参考図です。選択した番号のトリガーポイントだけを示す図ではありません。

関連痛。 前腕掌側の近位部と肘の内側

関連痛のパターン

  • 前腕掌側の近位部
  • 肘の内側
  • 手首にも症状が伴う場合があります

この痛みが、どのように感じられるか

手のひらを下へ返す動作や工具の反復使用で、前腕近位部がうずくことがあります。局所に負荷をかけた際の痛みと、正中神経の所見を比べてください。手の症状が続く場合、筋肉による痛みという説明だけで検査を省かないようにします。

患者さんからよく伺うお話

  • 手のひらを下に向けると痛い
  • 内側肘のだるさ
  • ひねる動作が難しい

症状が悪化しやすい状況

  • 回内
  • タイピング
  • 工具使用
  • 手のひらを下に向ける
関連する運動を見る (6)

患者が訴える症状

前腕を回すと手のひら側がうずく 力を入れたときと検者が動かしたときのどちらで普段の痛みが出るかを記録します。

肘の内側の不快感 回内による反応と、手首を曲げる筋肉や関節へ負荷をかけた際の反応を比べます。

手にも症状がある 索状硬結(タイトバンド)が原因と決めつけず、感覚の分布を記録し、運動機能を測定します。

よくある原因

手のひらを下へ強く返す動作の繰り返し 工具作業やスポーツの量が増えると、回内筋に求められる負荷も増える場合があります。

握り続ける作業 手首の姿勢、握る力、作業の合間に取る回復時間を確認します。

正中神経近位部の障害の可能性 神経学的な所見がある場合は、別に診断を検討し、経過を確認します。

臨床家と指導下の学習者向け

臨床資料

前腕掌側の圧痛を、手首の所見や正中神経が担う筋力・感覚と照らし合わせます。特に、回す際の痛みに手の症状が伴う場合に必要です。

解剖と触診

解剖学的な位置関係

上腕頭は内側上顆付近、尺骨頭は鉤状突起から起こります。筋線維は橈骨中央部の外側へ斜めに走り、前腕を回内させるとともに肘の屈曲を助けます。[1][2]

  • 上腕骨内側上顆と前腕掌側の近位部
  • 手首へ下る筋肉ではなく、橈骨中央部の外側へ向かう斜めの走行

周辺の組織。 正中神経は通常、二つの頭の間を通ります。肘前面の近くには上腕動脈と上腕二頭筋腱もあります。方形回内筋は、遠位にある別の筋肉です。

触診

患者さんの体位。 座位で肘を軽く曲げ、前腕を支えます。初めは手のひらを上に向けます。

解剖学的な目印を確認する

  • 近位付着部の目印として、上腕骨内側上顆を確認します。
  • 前腕掌側近位から橈骨外側へ向かう斜めの走行を把握します。肘のしわの中央を深く探らないでください。

診察の手順

  1. 手のひらを下に向ける軽い力を入れてもらい、筋肉が斜めに走る位置を把握します。
  2. 力を抜いてもらった後、触れられる範囲の筋組織に優しく触れ、反応を比べます。
  3. 普段の痛みか、局所にとどまるかを尋ねます。遠位にピリピリ感が出た時点で、圧迫による診察を中止してください。

所見を記録する

  • 回内で痛む部位が敏感なことはありますが、それだけで正中神経の絞扼とは判断できません。

限界と注意点

  • 正中神経を探すため、またはしびれを出すために、強く圧迫しないでください。
[1][2]

診察と検査

2

抵抗を段階的に加える回内テスト[1][2]

筋肉への局所負荷と、手に症状が再現されるかを比べます。

体位
肘を曲げて支え、前腕は中間位近くに置きます。手首の力を抜きます。
手技
肩で代償しないようにしながら、患者さんに手のひらをゆっくり下へ返してもらい、検者は軽い抵抗を加えます。局所痛、発揮した力、遠位症状を記録し、左右で比べます。
陽性所見
普段の前腕掌側痛、または力の低下。遠位の異常感覚は別に記録します。
解釈
局所に力を入れた際の痛みは、負荷調整の手がかりになります。手に症状が出る場合は正中神経を評価します。一つの誘発手技では、圧迫部位を決められません。
限界
方形回内筋も働き、痛みも力に影響します。トリガーポイントだけを評価するテストではありません。

正中神経の感覚とつまむ力の診察[2]

局所痛と、客観的な正中神経機能低下を区別します。

体位
両前腕と両手を支えます。感覚を比べる間は、患者さんに手元から目をそらしてもらいます。
手技
手のひらの母指球、親指、人差し指、小指に軽く触れ、感覚を比べます。母指対立と親指・人差し指を先端同士で合わせるつまみ動作を調べます。痛みと筋力低下は分けて記録してください。
陽性所見
繰り返し確認できる感覚の変化や筋力低下。親指と人差し指で丸い輪を保てない場合も含みます。
解釈
所見の分布から、正中神経近位部、手根管、前骨間神経のどこを中心に評価するか検討します。純粋な前骨間神経麻痺では感覚低下は生じません。
限界
病変部位の判断には診察全体が必要です。診察時に正常でも、間欠的な神経障害は除外できません。

ほかの原因との鑑別

正中神経近位部の障害(円回内筋症候群)[2]

判断に役立つ所見。 前腕痛に正中神経領域の感覚症状や客観的な筋力低下が伴います。感覚症状は手のひらの母指球に及ぶ場合もあります。

次の対応。 正中神経近位部の機能を調べ、機能低下が続く場合は検査を進めます。

手根管症候群[2]

判断に役立つ所見。 手首や手の症状があり、夜間に出ることもよくあります。手のひらの母指球では、感覚が比較的保たれます。

次の対応。 手首と正中神経の評価を行います。近位と遠位の障害が併存する場合もあります。

肘内側の腱障害、または屈筋・回内筋群の損傷[1][2]

判断に役立つ所見。 手首を曲げる動作や前腕の回内で、内側上顆に限局した痛みが出ます。特に、負荷の変化や外傷後にみられます。

次の対応。 抵抗運動を選ぶ前に、腱、関節、受傷機転を評価します。

前骨間神経障害[2]

判断に役立つ所見。 感覚低下がない一方、親指と人差し指の先端でつまむ力が弱くなります。

次の対応。 自己対処を長引かせず、早めに運動神経の評価を受けてください。

治療の選択と進め方

セルフケアと活動

繰り返すひねり作業と握る動作を調整する[2]

検討する場面。 負荷に伴う前腕痛と評価され、運動機能が安定している場合です。

小さな回転力で使える工具や電動工具を選び、続けて繰り返す回数を減らします。症状が出にくい前腕の位置を探してください。

実施量と見直し
普段の作業をいくつか選んで変更を試し、役立ったものを記録します。
段階的な進め方
症状が落ち着き、手の機能が安定していれば、作業時間を戻してから必要な力を増やします。
中止・再評価の目安
前腕痛が改善していても、しびれや筋力低下が強まる場合は再評価が必要です。
根拠と限界
症状を誘発する負担を減らす方法は保存的な臨床管理に沿っています。ただし、局所の筋肉による圧迫が解消したと示すものではありません。

運動とリハビリテーション

前腕を支えて回内に抵抗を加える運動[1]

検討する場面。 評価後の局所負荷痛があり、他動で回せる範囲が保たれ、神経機能の低下が進んでいない場合です。

肘を支え、中間位から手のひらを下へゆっくり返します。反対の手でごく軽い抵抗を加え、強く握らずに元の位置へ戻します。

実施量と見直し
開始例は1日おきに5〜8回です。症状が出やすい場合は回数を減らします。
段階的な進め方
抵抗を強める前に動く範囲と回数を増やし、その後、元のひねり作業を練習します。
中止・再評価の目安
手のピリピリ感、筋力低下、悪化の持続があれば中止してください。
根拠と限界
解剖を踏まえた実用的な負荷の例です。この回数は、円回内筋症候群やトリガーポイントに対して検証済みの手順ではありません。

臨床の専門家によるケア

必要に応じたハンドセラピィと神経機能を考慮したリハビリテーション[2]

検討する場面。 前腕痛が続き、手の症状または動作の制限がある場合です。

感覚と運動機能の分布、作業負荷、手首の所見を見直します。段階的な運動と作業調整を選んでください。神経を動かす運動は診察で必要性が認められ、症状を誘発しない場合に限ります。

実施量と見直し
所見に応じて計画を個別に組み、筋力と感覚を再評価する時期を決めます。
段階的な進め方
手の機能と作業耐性の改善を目安に負荷を調整します。機能低下が続く、または進行する場合は検査を進めます。
中止・再評価の目安
筋力低下が進む場合やしびれが続く場合は、医療機関で再評価を受けてください。
根拠と限界
保存的管理は主に臨床上の知見と経験に基づきます。これらの参考文献は、円回内筋の圧痛に対する注射、ボツリヌス毒素、衝撃波の一律な治療コースを裏付けていません。

再評価と経過観察

  • 抵抗に逆らう回内と、同じ感覚・つまみ力の診察を繰り返します。
  • 圧痛だけでなく、安全に握れるか、ひねり作業にどこまで耐えられるかを記録します。
  • 同じ肘の角度で、自力で前腕を回せる範囲を再測定します。症状が局所にとどまるか、手へ広がるかも確認してください。

根拠と出典

  1. University of Washington Muscle Atlas: Pronator Teres

    2026 · 大学の解剖学参考資料

    2026年9月に閲覧した資料で、年は閲覧年です。筋の起始・停止と働きを支える資料であり、トリガーポイントの診断や運動の有効性を示すものではありません。

  2. Pronator Teres Syndrome

    2023 · 臨床の参考資料

    正中神経近位部の障害、感覚分布、鑑別のための診察を扱います。保存的な選択肢があることは、触れられる索状硬結が神経を絞扼している証明にはなりません。

関連するトリガーポイント