臨床の専門家によるケア
持続する殿筋腱の痛み・大転子部痛症候群への集束型体外衝撃波治療[1]
検討する場面。 殿筋腱障害または大転子部痛症候群と評価された、股関節外側の痛みが続く場合です。とくに、負荷を調整するケアだけでは十分でなかったときが対象になります。
医療者が症状のある腱・大転子部の領域を見定め、段階的な負荷プログラムと並行して、集束型の体外衝撃波治療(ESWT)を行います。筋腹の圧痛だけでは、この腱を対象とした治療の流れを選ぶ根拠にはなりません。
- 実施量と見直し
- 103人の試験では、運動と併用して、週1回の施行を3回行いました。ここでの記載は試験の内容を述べたもので、最適な用量を示すものではありません。
- 段階的な進め方
- 6〜8週のころに、夜間の痛み、横向きで寝ること、歩行や階段の動作を見直します。無理のない範囲で、腱への段階的な負荷を続けます。
- 中止・再評価の目安
- 外転筋の著しい筋力低下、新たに体重をかけられなくなる、機能の悪化がある場合は、続ける前に再評価してください。
- 根拠と限界
- 2か月の時点で、平均の痛みは10点満点で、集束型ESWT群が2.0、低エネルギーの偽処置群が4.7でした(開始時は両群とも6.3)。機能面の結果も、6か月までおおむね治療群に有利でした。これらは大転子部痛症候群に対する結果であり、中殿筋・小殿筋のトリガーポイントを選んで解除した結果ではありません。
臨床の専門家によるケア
評価された大転子部痛症候群に対する、処置の選択肢としてのドライニードリング[2]
検討する場面。 大転子部痛症候群と診断され、患者さんと医療者が、ドライニードリングか副腎皮質ステロイド注射を検討している場合です。
股関節周辺の診察で対象を絞り、負荷管理を続けながら、期間を区切ってドライニードリングを試すかどうかを話し合います。この試験は特定の殿筋を切り分けたものではなく、腱の修復を示したものでもありません。
- 実施量と見直し
- 小規模な試験では、治療と観察が6週間にわたって行われました。そこから、全員に共通する治療回数を導くことはできません。
- 段階的な進め方
- 階段や歩行など、患者さんが選んだ動作を3〜6週のあいだに確認し、さらに処置を重ねて得られる利益があるかどうかを判断します。
- 中止・再評価の目安
- 痛みの増強が続く、新たな神経症状が出る、筋力低下が進行する場合は、再評価してください。
- 根拠と限界
- 43人(50股関節)の試験で、ドライニードリングは、6週時点の痛みと機能について、コルチゾン注射に対する事前に定めた非劣性の基準を満たしました。運動のみとは比較されておらず、優位性が長く続くことを示すものでもありません。
セルフケアと活動
痛みの出る股関節外側への圧迫を減らす[7]
検討する場面。 横向きで寝る、脚を組む、片脚に体重をかけて立つといったことで、外側の痛みが強まる場合です。とくに腱障害が疑われるときに向いています。
仰向けに寝るか、楽なほうを下にして、両膝と両足首を枕で支えてみてください。痛む上側の股関節が、体の中心線を越えて下へ落ちないようにします。片脚で長く立ち続けないよう途中で休み、痛みの出る坂道や階段の時間は一時的に短くします。
- 実施量と見直し
- 痛みが出やすい動作のときと睡眠中に取り入れます。変える内容は、楽かどうかを基準に選んでください。トリガーポイントに特化した、確立された実施スケジュールはありません。
- 段階的な進め方
- 歩行時と翌朝の症状が落ち着くにつれて、症状を誘発する活動を一つずつ再開します。
- 中止・再評価の目安
- 痛みが増す姿勢はやめてください。圧痛のある大転子の上では、硬いローラーや、ボールによる持続的な圧迫を使わないでください。
- 根拠と限界
- 負荷管理についての説明は、効果が得られた殿筋腱障害のプログラムの一部でした。それだけで効果があるのかどうか、また筋肉だけに圧痛がある場合に役立つのかどうかは、はっきりしていません。
運動とリハビリテーション
耐えられる範囲の股関節外転筋への負荷から始める[7]
検討する場面。 軽い収縮ならできるものの、片脚での動作を繰り返すには過敏すぎる股関節外側に向いています。
仰向けで膝を曲げ、足を少し離して置きます。膝の上に軽いループ状のバンドを巻き、骨盤を動かさず、膝が内側に倒れないようにしながら、膝をそっと外へ押します。力は軽くし、呼吸は普段どおりにします。
- 実施量と見直し
- 開始時の一例として、10〜20秒の穏やかな保持を、休みをはさんで4回、1日1回行います。これは股関節周辺のリハビリテーションの例であり、中殿筋・小殿筋のトリガーポイントに対して検証された方法ではありません。
- 段階的な進め方
- 回数や抵抗を増やす前に、楽に力を出せる強さを育てます。翌朝の状態が悪化していなければ、立った姿勢での外転へ進みます。
- 中止・再評価の目安
- 睡眠や翌日の痛みが悪化したら、負荷を軽くしてください。鼠径部の鋭い痛み、広がるピリピリ感、新たな筋力低下があれば中止します。
- 根拠と限界
- 診断が確定した殿筋腱障害では運動に利益がありますが、トリガーポイントに対して、特定の収縮の種類や、この具体的な量が優れていると確立されたわけではありません。
運動とリハビリテーション
歩行と踏み台昇降の力をつける[7][5]
検討する場面。 症状は良くなってきたものの、階段、長めの歩行、片脚での動作に難しさが残っている場合です。
カウンターにつかまり、低い段をゆっくり上り下りする練習をします。働かせるほうの膝に無理がないようにし、体幹を大きく傾けず、必要なら手すりを使います。目立つ跛行が出る前に切り上げる平地の歩行も、組み合わせます。
- 実施量と見直し
- 一例として、6〜8回の踏み台昇降を1〜2セット、1日おきに行い、短く楽な歩行を加えます。普段の対応力に合わせて調整してください。公表された試験の方法そのものではありません。
- 段階的な進め方
- 数回の練習を無理なくこなせたら、回数、段の高さ、歩く時間のうち一つだけを増やし、夜間と翌日の症状を確認します。
- 中止・再評価の目安
- 体重をかけると鋭く痛む、脚が何度もがくんと抜ける、症状が日をまたいで積み重なるといった場合は、中止してください。
- 根拠と限界
- 股関節周辺のリハビリテーションに見られる、段階的に負荷を高める考え方を当てはめたものです。下肢全体を鍛える運動であり、深部の筋肉だけを選んで解除したり、痛みの原因となった組織を証明したりするものではありません。
臨床の専門家によるケア
持続する殿筋腱の痛みへのPRP(多血小板血漿)[8][9][7]
検討する場面。 臨床的に殿筋腱障害または大転子部痛症候群と評価された痛みが続き、負荷プログラムと腱断裂の可能性を見直したうえで、PRPを検討している場合です。
腱と滑液包の所見、これまでのリハビリテーション、最も影響を受けている活動を確認します。結果が食い違っている注射の試験、見込まれる費用と負担、積極的なケアを続ける・見直すという選択肢について話し合ったうえで、PRPを行うかどうかを決めます。
- 実施量と見直し
- 2018年の試験では、超音波ガイド下で腱内にPRPを1回注射した群と、副腎皮質ステロイドを1回注射した群を比べました。2025年のプラセボ対照試験では、大転子滑液包と中殿筋腱が対象でした。追加の処置は、臨床的な反応を見直したうえで検討します。
- 段階的な進め方
- 横向きで寝たときの痛み、歩行や階段の耐えやすさ、股関節の機能を記録します。処置を選んだ場合は、適切な負荷プログラムを続けながら、6〜12週の時点と6か月の時点で、実際に役立つ改善があるかを再評価します。
- 中止・再評価の目安
- 処置の前に、進行する筋力低下、悪化する跛行、新たに体重をかけられない状態がある場合は、再評価してください。注射のあとに発熱、広がる赤み、急に強まる痛みが出た場合は、速やかに医師の診察を受ける必要があります。
- 根拠と限界
- 80人の試験では、12週時点の股関節機能でPRPが副腎皮質ステロイドより有利でした。その後に行われた、難治性の大転子部痛症候群の79人を対象としたプラセボ対照試験では、白血球を多く含むPRPによる追加の利益は、6か月まで有意には認められませんでした。対象部位と比較対照が異なるため、直接比べることには限界があります。現時点の知見は、大転子部痛症候群に対するPRPの定型的な治療コースを支持せず、中殿筋・小殿筋だけの筋肉への効果を示すものでもありません。
臨床の専門家によるケア
確認された部位の問題に合わせてリハビリテーションを選ぶ[7][5]
検討する場面。 股関節の深部や脚の痛みが続き、とくに原因がまだはっきりしない場合です。
医療者が、股関節の動き、外転筋の力、歩き方、神経学的な所見を比べます。適切であれば、部位全体への負荷プログラムを組み立てます。関節、腱、神経の病気は、それぞれに応じて扱い、小殿筋の深部解除を繰り返し試みることはしません。
- 実施量と見直し
- 症状の重さと機能の目標に基づき、見直す時期を決めた期間限定の試行を計画します。ここでは、小殿筋に特化した通院回数やドライニードリングの実施スケジュールについて、検証されたものはありません。
- 段階的な進め方
- 平地の歩行、階段、荷物を運ぶ動作は、症状と筋力が改善するのに合わせてのみ進めます。手術による制限があれば守ります。
- 中止・再評価の目安
- 脚の先のほうの症状、筋力低下、跛行が進行した場合や、局所の治療を行っても選んだ活動が改善しない場合は、再評価してください。
- 根拠と限界
- 殿筋腱のリハビリテーションには、比較試験の裏づけがあります。その根拠を、深部の小殿筋のトリガーポイントを診断した、あるいは解消したという主張に移し替えることはできません。