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Atlas · 肩

三角筋(前部)

三角筋は肩を覆い、腕を前方・側方・後方へ上げる動きを助けます。この部位の痛みは、筋肉への負荷のほか、腱板や関節の病気、腋窩神経の損傷を反映している場合があります。局所へのケアを選ぶ前に、動き・筋力・感覚を比較します。

三角筋(前部)
身体部位
肩
トリガーポイント
6
この筋に記載
よくある症状
3
記録されたパターン
よくある原因
3
関連する因子

筋肉の概要

症状と最初の対処

最初にできる対処

  • 痛みが出る押す動作では、重さや高さを一時的に下げましょう。
  • 日中は、腕を支えながら、楽に動かせる範囲で動かしてください。
  • 動作への耐容度が高まるにつれて、まず回数を、その次に負荷を戻していきます。

評価を受ける目安

  • けがによる変形、強い痛み、肩を動かせない状態があれば、速やかに診察を受けてください。
  • 三角筋の萎縮(筋肉のやせ)が新たに現れた、腕を横へ上げる力が著しく低下した、肩の外側にしびれがある場合は、診察が必要です。

肩の外側が痛むという場所だけでは、三角筋が原因とは特定できません。他動運動は保たれているのに自動での挙上が弱い場合は、筋力と神経学的な評価が必要です。

診察・触診・治療の根拠

筋肉と痛みの図解

三角筋(前部)

青色は対象の筋肉を示します。×印は代表的なトリガーポイントの位置、陰影は関連痛が現れる可能性のある範囲です。これらの例は、下に番号付きで示す各ポイントと一対一に対応するものではありません。痛みの広がりには個人差があり、この図だけで原因を診断することはできません。

画像内の表記は英語です。

筋肉と痛みの図解

Deltoid · Anatomy 1

Anatomical view of the illustrated muscle.

画像内の表記は英語です。

元のサイズで画像を開く

トリガーポイント

1. TrP1

位置。 肩前方

トリガーポイントの分布図
三角筋(前部) — トリガーポイントの分布図元のサイズで画像を開く

この筋肉の部位で共通の図です。複数のトリガーポイントが示されている場合があります。

関連痛の分布図
三角筋(前部) — 関連痛の分布図元のサイズで画像を開く

この筋肉の部位で共通の図です。複数のトリガーポイントが示されている場合があります。

関連痛。 肩前方と外側

関連痛のパターン

  • 肩前方
  • 外側腕
  • 三角筋付着部

この痛みが、どのように感じられるか

腕を前へ上げる、押す、頭上で使うといった動作で、肩の前面や外側に痛みが出ることがあります。三角筋への負荷は、腱板や関節とあわせて調べます。痛みに筋力低下や動きの制限が伴う場合は、特に重要です。

患者さんからよく伺うお話

  • 腕を前方に上げるときの痛み
  • 肩前方の痛み
  • プッシュアップ困難

症状が悪化しやすい状況

  • 前方リフティング
  • プッシュアップ
  • 頭上プレス
  • 重い物の運搬
関連する運動を見る (24)

患者が訴える症状

腕を上げると痛む 痛みが出る動きの高さと方向を記録します。

プレスやレイズを増やした後の筋肉痛 症状を、トレーニング量の変化や回復の状況と結びつけて考えます。

力が入りにくい、または肩の外側の感覚が変わる これらの所見には、神経学的な評価とけがの評価が必要です。

よくある原因

頭上での負荷の増加 プレス、サイドレイズ、肩より高い位置での作業を見直します。

肩のけがや不安定性 過去の脱臼が、腱板や腋窩神経の機能に影響することがあります。

繰り返し腕を上げることへの耐性の低下 特定の姿勢が原因と決めつけず、筋力、疲労、作業時間を考慮します。

臨床家と指導下の学習者向け

臨床資料

三角筋に圧痛があっても、肩の障害が併存していることがあります。けがの後に急に力が入らなくなった場合を、運動後のよくある筋肉痛として扱ってはいけません。

解剖と触診

解剖学的な位置関係

三角筋の前部・中部・後部の線維は、それぞれ鎖骨外側部、肩峰、肩甲棘から起こり、上腕骨の三角筋粗面に集まって付着します。肩の屈曲、外転、伸展を助け、回旋の働きは部位によって異なります。[1][2][3]

  • 鎖骨外側部、肩峰、肩甲棘が、近位側の付着部の目安になります。
  • 三角筋粗面は、肩の丸みの下、上腕骨の外側にあります。

周辺の組織。 腱板と肩峰下・三角筋下滑液包は、この筋肉の深層にあります。腋窩神経と後上腕回旋動静脈は、上腕骨近位部の周囲を深部で回り込みます。

触診

患者さんの体位。 座位で前腕を支えます。調べる部位が触れやすくなるよう、腕を無理なく前方または側方へ置きます。

解剖学的な目印を確認する

  • 前部または中部の線維をたどる前に、肩峰と鎖骨外側部で位置を確認します。
  • 肩甲棘で三角筋後部の位置を確認し、そこから上腕骨外側へ向かってたどります。

診察の手順

  1. 触れる前に、輪郭と皮膚の状態を観察します。
  2. 腕を前方・側方・後方へ軽く動かす力を入れてもらい、対象となる浅層の線維を確認したら、力を抜いてもらいます。
  3. 軽い圧で反応を比較し、同じ腕の動きをもう一度確認します。圧痛は、筋力低下や感覚の低下とは分けて記録します。

所見を記録する

  • 力を入れたときに限局して感じる痛みは、広範囲にわたる有痛弧や、神経脱落症状とは異なります。

限界と注意点

  • 肩の後方の丸みの下を深く押さないでください。脱臼後や骨折が疑われる場合は、強い力で検査しないでください。
[1][2][3]

診察と検査

2

自動での肩挙上と介助下での肩挙上の比較[2]

自分で動かす力の低下と、肩の動かせる範囲そのものの制限を区別します。

体位
座位または仰臥位で、体幹を支え、親指を上に向けます。
手技
肩甲骨面で、腕をゆっくり上げる動きを観察します。次に腕を支え、無理のない介助下の動きと比較しながら、痛み、動かせる範囲、肩をすくめる動きを記録します。
陽性所見
自動可動域が介助下の可動域よりも著しく小さい、または両方が制限されています。
解釈
自動可動域の低下が大きい場合は、腱板、三角筋、神経の評価を行います。両方が著しく制限されている場合は、関節や関節包の関与が示唆されます。
限界
痛みによる筋力の抑制が動きに影響します。この比較では、三角筋だけを切り分けることも、トリガーポイントを診断することもできません。

支えを用いた外転筋力と肩外側の感覚の確認[1][3][2]

三角筋の収縮と、それに伴う腋窩神経の所見をスクリーニングします。

体位
腕を支え、肘を曲げて、軽く外転した位置にします。痛みが出る最終可動域は避けます。
手技
肘の上に抵抗を加え、腕を外側へ軽く保持してもらいます。収縮の様子と力を比較し、続いて上腕外側上部の軽い接触に対する感覚を左右で比較します。
陽性所見
明らかな筋力低下または収縮の不良。特に、外傷後に肩の外側の感覚が変わっている場合。
解釈
運動と感覚の所見が併せてみられる場合は、腋窩神経損傷の評価が必要です。腱板の病気や痛みによる抑制も、鑑別に残ります。
限界
感覚が正常でも、運動線維の障害は否定できません。また、肩の外転には腱板も働きます。

ほかの原因との鑑別

腱板に関連する痛みまたは断裂[2]

判断に役立つ所見。 挙上時の痛み、夜間痛、腱板に負荷をかけたときの筋力低下があり、症状が浅層の圧痛部位一か所にとどまりません。

次の対応。 肩の診察を一通り行います。外傷後や著しい筋力低下がある場合は、精査します。

肩のけがの後の腋窩神経障害[3][1]

判断に役立つ所見。 三角筋の筋力低下や萎縮があり、肩外側の感覚低下を伴う場合も伴わない場合もあります。特に脱臼後にみられます。

次の対応。 神経学的な機能を評価し、運動障害が続く場合は経過を追う診察を手配します。

肩甲上腕関節の硬さ[2]

判断に役立つ所見。 自動運動・他動運動ともに制限され、外旋も含まれます。

次の対応。 関節と関節包を評価し、動かせる範囲に合わせてリハビリテーションを調整します。

局所の筋損傷[2][3]

判断に役立つ所見。 一度の負荷や直接の打撲の後に、限局した痛み、皮下出血、圧痛がみられます。

次の対応。 損傷の程度を調べ、重大な断裂や骨折がないことを確認したうえで、負荷を段階的に戻します。

治療の選択と進め方

セルフケアと活動

痛む持ち上げ動作の高さと負荷を減らす[2]

検討する場面。 評価済みの、負荷に関連する肩の痛みで、筋力が保たれている場合。

作業する高さを下げ、両手を使い、痛むレイズやプレスの重さを減らします。無理なくできる動きは保ちます。

実施量と見直し
いつもの作業をいくつか行う間に、一つの変更を試します。
段階的な進め方
回数の多い動作と重い負荷を組み合わせる前に、動かせる範囲を戻します。
中止・再評価の目安
筋力低下が続く、または進行する場合は、再評価が必要です。
根拠と限界
個々に合わせた活動の調整は、肩のリハビリテーションの一部です。作業を変えたときの反応が、続けるかどうかの判断材料になります。

運動とリハビリテーション

段階的な肩の挙上運動[2][1]

検討する場面。 重大なけがや神経の筋力低下が評価された後の、安定した肩の痛みの場合。

介助を用いてテーブル上で腕を滑らせる運動、または、親指を上に向けて無理のない範囲で短く腕を上げる運動から始めます。その後、日常の動作で必要な方向へ、軽い抵抗を加えていきます。

実施量と見直し
開始例として、コントロールしながら6〜8回を1セット行い、痛みと翌日の耐容度に応じて調整します。
段階的な進め方
無理なく動かせる範囲を広げ、次に抵抗を増やし、最後に頭上での反復動作へ進みます。
中止・再評価の目安
悪化が続く場合は運動量を減らしてください。自分で腕を上げられなくなった場合は、診察が必要です。
根拠と限界
腱板に関連する痛みに対しては、積極的なリハビリテーションが支持されています。この運動の選択は肩周囲への応用であり、三角筋だけを対象とした治療の根拠にはなりません。

臨床の専門家によるケア

腱板に関連する痛みに対する肩の徒手療法[2]

検討する場面。 評価済みの、腱板に関連する肩の痛みで、痛みや関連する可動性の低下のために動きが制限されている場合。

医療者が、耐えられる範囲の肩関節モビライゼーションや、触れやすい軟部組織への施術を行う場合があります。その後、同じ挙上動作を確認し、自動運動を行います。

実施量と見直し
ガイドラインは、単一の手技や受診ごとの量を示していません。動きの再評価を伴う短い試行期間を、話し合って決めます。
段階的な進め方
痛みの軽減が運動や日常生活に役立つ場合に限って続け、運動負荷が改善するにつれて、徒手による施術を減らします。
中止・再評価の目安
痛みが強くなる、新たな感覚異常が出る、不安定感がある場合は、中止します。
根拠と限界
2025年のガイドラインは、短期的な痛みの軽減のために、局所の徒手療法を認めています。三角筋だけを緩める手技や、マッサージ単独による持続的な効果は、確立していません。

再評価と経過観察

  • 同じ運動面で、自動と介助下の挙上可動域を記録します。
  • 支えを用いた外転の力と、肩外側の感覚の変化を比較します。
  • 選んだ手を伸ばす動作や押す動作について、高さ、負荷、回数と、翌日の反応を記録します。

根拠と出典

  1. University of Washington Muscle Atlas: Deltoid

    2026 · 大学の解剖学参考資料

    2026年9月閲覧。年は閲覧年です。付着部、働き、神経支配の参考資料です。このあとに示す触診の接触部位と開始時の運動は臨床での応用であり、検証されたトリガーポイント検査ではありません。

  2. Rotator Cuff Tendinopathy Diagnosis, Nonsurgical Medical Care, and Rehabilitation: A Clinical Practice Guideline

    2025 · 診療ガイドライン

    腱板腱障害に対する評価、教育、積極的なリハビリテーションを扱っています。推奨26は、短期的な痛みの軽減のために、局所の徒手療法を認めています。三角筋や広背筋に限った効果や、一律の徒手療法の量は確立していません。

  3. AAOS OrthoInfo: Shoulder Dislocation

    2026 · 整形外科学会の患者向け情報

    2026年9月閲覧。年は閲覧年です。けがによる変形、動きの喪失、神経症状には評価が必要であることを示しており、肩のけがの後の鑑別を支える資料です。

関連するトリガーポイント

  • Supraspinatus
  • Pectoralis major
  • Biceps brachii
  • 棘上筋
  • 棘下筋
  • 小円筋
  • 菱形筋
  • 三角筋(前部)TrP1
  • 上腕二頭筋 TrP1
  • 大胸筋 TrP1
  • 棘上筋 TrP1
  • 烏口腕筋 TrP1
  • 三角筋中部 TrP1
  • 棘下筋 TrP1
  • 三角筋前部 TrP1
  • 上部僧帽筋 TrP1
  • 三角筋後部 TrP1
  • 小円筋 TrP1
  • 中部僧帽筋 TrP1
  • 菱形筋 TrP1