PENSとは

P E N S Treatment
Overview Diagram経皮的末梢神経電気刺激(PENS:Percutaneous Electrical Nerve Stimulation)は、刺鍼と電気刺激を組み合わせた比較的低侵襲な治療法です。表面の電気刺激よりもう一歩踏み込んだ神経調節を意図する場面で、ペインクリニックなどの一部の医療機関で用いられています。
PENSは、日常的に使われるTENSと、より侵襲度の高い植込み型神経刺激療法のあいだに位置づけられる選択肢として議論されてきました。外来で行える医師の処置という枠組みは保ちながら、表面パッドではなく針電極を用いて、皮膚の下の組織により近い場所で電流を作用させる点が異なります。
PENSは、深部や難治性の痛みの発生源が関与しうる方を対象にした、選択的な神経調節処置として捉えるのが現実に即しています。
PENSの特徴は、TENSと比べて電流が標的組織により近い位置で作用しうる点にあります。痛みが深い、長引いている、神経の関与が疑われるといった状況で、検討の余地が出てくるとされています。すべての治療をしのぐ汎用的な進化版ではなく、あくまで選択的に用いる手段の一つとして位置づけるのが妥当でしょう。
作用機序
PENSは、脊髄での痛みの調節、内因性鎮痛系、局所の神経・筋・筋膜への作用など、複数の経路を介して痛みに影響する可能性があると議論されています。実務的なポイントは、表面の電気刺激よりも一歩踏み込んだ形で、痛みの処理に影響を与える可能性があると考えられている点です。

Mechanism of Action
Mechanism Diagram深部組織への到達
脊髄レベルでの痛みの調節
内因性鎮痛系への関与
分節的・領域的な神経調節
局所の過敏さを和らげる可能性
局所循環や組織反応への影響
炎症シグナルへの関与
中枢性感作と呼ばれる現象との関わり
PENS・TENS・電気鍼の比較
三つの治療法はいずれも電気刺激を用いますが、侵襲度、想定される作用深度、治療の枠組みが異なります。
電極の種類
送達方法
想定される作用深度
臨床的な枠組み
侵襲性
想定される使いどころ
実務上の制約
治療体系での位置づけ
治療パラメータ
PENSの設定は、プロトコル、医師、治療目的によってさまざまです。患者さんが必要とされるのは、細かな数値そのものよりも、全体像と安全面の枠組みです。
針の設定
- 針の種類 — 医師が刺入する細い針電極
- 深さ — 標的組織と解剖学的条件に応じて医師が判断します
- 本数 — 治療部位やプロトコルにより変わります
- 配置 — 処置内容と医師の判断に基づきます
周波数の考え方
- 低めの周波数 — ゆるやかなリズムの刺激として用いられることがあります
- 高めの周波数 — 強めの感覚調節を狙うときに用いられることがあります
- 組み合わせ — 複数の周波数を切り替えるプロトコルを採用する医師もいます
- 選択の基準 — 治療目的・患者さんの感じ方・装置の仕様を踏まえて選択します
刺激の調整
- 強さ — 患者さんが許容できる範囲で医師が調整します
- 波形 — 装置とプロトコルにより異なります
- セッションの様子 — 目的に応じて感覚レベル・運動レベルの反応を確認することがあります
- 進め方 — 画一的なテンプレートではなく、反応を見ながら進めます
治療プロトコル
- 1回の所要時間 — 医療機関で行う比較的短時間の処置です
- 治療回数 — 一度きりの治癒ではなく、短いシリーズとして行われるのが一般的です
- 頻度 — 医師の判断に基づきます
- 経過観察 — 再評価とリハビリテーション計画に組み込んで行うのが望ましいでしょう
臨床エビデンス
Ghoname ら(1999年)
Ghoname ら(1999年)
Ghoname ら(1999年)
White ら(2001年)
Yokoyama ら(2004年)
システマティックレビュー・メタ分析
一部の症例で表面刺激より良好
選ばれた患者さんで有用
多面的ケアの一部として
施術手順(ステップ別)

Procedure Overview
Step-by-Step Illustration評価と標的の選定
体位と準備
針電極の刺入
刺激装置の設定
医師の管理下での刺激
処置後の再評価
適応となる患者さん
TENSで十分な効果が得られなかった方
深部の筋筋膜性トリガーポイント
筋筋膜の関与を伴う慢性腰痛
坐骨神経痛や神経・筋筋膜が混在する症状
慢性的な頚腕部・上半身の痛み
刺鍼を伴う処置に抵抗の少ない方
禁忌事項
副作用と安全性
十分な研修を受けた医療従事者による施術下では、PENSは比較的低リスクの処置と考えられていますが、刺鍼と電気刺激の双方に通常伴うリスクは存在します。
深部組織への到達
針電極を用いることで、表面パッドよりも標的組織に近い位置で刺激しうる設計になっています。
痛みの調節
症状を一時的に覆い隠すのではなく、痛みの伝わり方や処理のされ方そのものに働きかけることを意図した処置です。
神経と筋筋膜の重なり
神経の過敏さと筋筋膜の関与が同時に存在する場面で、関連が議論されることがあります。
補助的な役割
これ単体ですべてが完結する治療ではなく、より大きな治療計画の一部として位置づけられます。
PENSは医師が行う処置で、針の刺入と電気刺激を組み合わせ、表面刺激では届きにくい深部の標的に作用させることを意図した治療法です。
実務上の役割としては、日常の第一選択ではなく、選ばれた慢性的・難治性の症例に対する選択肢として位置づけられます。
深部組織や神経の関与が疑われる場合、あるいはより単純な治療で十分な効果が得られなかった場合に、より直接的な神経調節を検討する文脈で用いられることがあります。
在宅で行える治療ではなく、十分な研修を受けた医療従事者による介入的処置です。
リハビリテーション、運動、痛みを長引かせている要因への対処と組み合わせた包括的な計画のなかで用いられたときに、より良い結果につながると考えられています。