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筋肉ガイド

前腕外側の筋肉:握る、手首を反らす、手のひらを返す動き

長・短橈側手根伸筋、総指伸筋、回外筋について、筋肉、腱、橈骨神経に関する所見を分けて考えます。

押さえておきたいこと

  • 普段の痛みが肘の外側、筋腹、前腕の肘に近い深い部分のどこにあるかを確認します。
  • 握るときや手首を反らす検査での痛みは、肘外側の腱障害に合う場合がありますが、一つのトリガーポイントを示すわけではありません。
  • 指や親指を伸ばす力が低下している場合は、圧痛があっても神経学的な評価が必要です。

解剖と画像の見方

橈側手根伸筋群は手首を反らし、物を握るときの手首の位置を支えます。総指伸筋は指を伸ばし、回外筋は橈骨の上部を囲んで手のひらを上へ向ける動きに関与します。この領域には橈骨神経の深枝が通るため、深く圧迫して回外筋を探す方法は適切ではありません。 [1]

筋肉と痛みの図解

短橈側手根伸筋

Essential Anatomy 5

筋肉と痛みの図解

図02・トリガーポイント領域

短橈側手根伸筋。パネルBに基づく、番号のない中央領域の1例です。原典に基づく代表的な領域の例です。番号付きの個別ポイントには割り当てていません。

画像内の表記は英語です。

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この図について

Essential Anatomy 5から取得した画像です。解剖構造は描き直さず、色の調整と独立した注記の追加を行っています。領域の例を示しており、番号付きの個別ポイントには割り当てていません。

  • Simons, Travell and Simons, Myofascial Pain and Dysfunction, Volume 1, second edition (1999), p692, Figure34.1B, ECRB component of the upper anatomical drawing

診察からわかること

ここでは医療者が行う評価を紹介します。結果の解釈と、その検査でわからないことを併せて確認してください。

握る力と手首を反らす動きの基準
評価の方法
前腕を支え、無理のない握り動作と軽い抵抗に逆らって手首を反らす動作を比べます。痛む場所と耐えられる負荷を記録し、必要に応じて握力計で同じ条件の測定を行います。
結果の活かし方
腱に負荷をかけたときに上腕骨外側上顆付近が痛むなら、肘外側の評価を進める手がかりになります。
評価の限界
複数の組織が働く動作です。筋腹の圧痛と腱の痛みが併存することもあります。 [2]
手のひらを上へ返す動き
評価の方法
前腕を中間位付近で支え、軽い抵抗に対する回外を比べます。痛みが肘の前面、前腕の橈骨側の深部、関節のすき間のどこに出るかを確認します。
結果の活かし方
場所によって、上腕二頭筋、橈骨側の領域、関節のどこを詳しく調べるかが変わります。
評価の限界
回外には上腕二頭筋も働きます。この動作だけで回外筋のトリガーポイントや橈骨神経トンネル症候群を診断することはできません。 [1][3]
運動機能と関節の動き
評価の方法
自分で指、親指、手首を伸ばす動きを比べ、肘と前腕が無理なく動く範囲も確認します。経過から神経の関与が考えられる場合は、医療者が感覚や首も調べます。
結果の活かし方
運動機能の低下が続く、または他動的に回しても制限がある場合は、評価の方針を変えます。
評価の限界
痛みで十分な力が出ないこともあります。見かけの弱さは確認して部位を絞る必要があり、一回の自己検査では診断できません。 [1][2]

ほかに考慮する原因

肘外側の腱障害

握る動作や抵抗に逆らって手首を反らす動作で、伸筋群の共通起始部付近に負荷に応じた痛みが出ます。

次の対応: 腱を中心に経過を聞き、診察します。握る力と日常動作を同じ条件で測定します。 [2]

橈骨神経の関与

前腕の肘に近い深部の痛みに加え、指や親指の明らかな筋力低下、ほかの神経学的所見がある場合です。

次の対応: 神経の診察を受けてください。運動機能の低下が進んでいる場合は、早めの医療機関での評価が必要です。 [1][2]

上腕二頭筋遠位部や肘関節の問題

回外すると肘の前面が痛む、けがの際に音がして内出血した、関節が引っかかる、他動的に回しても制限される、といった所見です。

次の対応: 前腕外側を繰り返し押すのではなく、腱や関節を調べます。 [3][2]

症状に合わせた取り組み方

  1. 強く握る・ひねる負担を減らす

    作業する物を体に近づけ、一回の作業時間を短くし、少ない力で扱える握り方や道具を試します。役に立つ手の活動は、耐えられる範囲で続けましょう。

    負荷の進め方: 大きなねじり負荷や長い握り動作を加える前に、作業時間を徐々に戻します。 [2]

  2. 手首を反らす筋への抵抗を増やす

    肘外側の腱障害と評価された場合は、前腕を支えて手首を反らす力を保つ運動や、軽い重りをゆっくり上げ下げする運動から始められます。現在の痛みと運動能力に合わせて負荷を選びます。

    負荷の進め方: 回数と抵抗を少しずつ増やし、実際の持ち上げ動作やラケット操作へつなげます。どの方にも合う一つの運動方法があるわけではありません。 [2]

  3. 回す動作は別に段階を踏む

    回外が難しい場合は、神経障害や大きな腱損傷の有無を評価してから、前腕を支えて軽く手のひらを上へ返す動作を始めます。最初から長く重い道具をてこのように使うのは避けてください。

    負荷の進め方: 動く範囲を広げた後、抵抗や作業時間を増やします。解剖を踏まえた例であり、回外筋だけを対象にした試験で検証された運動処方ではありません。 [1][3]

経過をみるポイント

  • 同じ負荷で、同じ握り動作や道具を使う作業を比べます。
  • 手首を反らす力と手のひらを上へ返す動きを分けて記録します。
  • 活動を増やしても手の機能が保たれているかを確認します。

受診を考える目安

  • けがの際の断裂音、内出血、急に手のひらを上へ返す力が落ちた場合は、早めに受診してください。
  • 指や親指を伸ばす力が新たに低下した、または悪化している場合や、しびれ、腫れ、関節の引っかかりが続く場合は診察が必要です。

根拠とその限界

2022年のガイドラインは肘外側の腱障害を対象としています。そこにある運動や処置の推奨は、前腕外側のすべての症状が筋のトリガーポイントから生じると示すものではありません。

参考文献

  1. University of Arkansas for Medical Sciences: Muscles of the Upper Limb

    大学の解剖学資料. 筋の付着部、作用、神経との位置関係を確認する資料です。治療効果の根拠としては用いていません。この資料の図版は転載していません。

  2. Lucado et al. Lateral Elbow Pain and Muscle Function Impairments (2022)

    診療ガイドライン. 肘外側の腱障害の評価とリハビリテーションを扱い、手首を反らす筋への抵抗運動などを検討しています。回外筋や筋腹だけの病変を診断する根拠にはなりません。

  3. AAOS OrthoInfo: Biceps Tendon Tear at the Elbow

    専門学会による診療情報. 上腕二頭筋遠位腱断裂の特徴と、適切な時期に診察を受ける必要性を扱っています。大きな損傷を伴わない負荷時痛に対する運動例は、断裂した腱や手術で修復した腱のリハビリテーション手順ではありません。