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Atlas · 頭部

側頭筋

側頭筋は、こめかみに広がり、顎を閉じる筋肉です。噛む・食いしばる動作で変わる、いつものこめかみ痛は、顎関節症(TMD)に伴う場合があります。ただし、頭痛や歯痛はそれぞれ評価が必要です。無理なく顎を使い、元に戻せる治療を中心に考えます。新たな側頭部の頭痛に顎の疲れや視覚症状を伴う場合は、至急評価を受けてください。

側頭筋
身体部位
頭部
トリガーポイント
3
この筋に記載
よくある症状
4
記録されたパターン
よくある原因
4
関連する因子

筋肉の概要

症状と最初の対処

最初にできる対処

  • 休んでいるときは上下の歯を離し、症状を誘発する食いしばりやガムを減らしてください。
  • 楽な範囲で口を開けます。症状が強まった時期は、一時的に食べ物の硬さを調整します。
  • 頭痛の特徴と、顎を使う動作との関係を記録します。原因を調べようとして、こめかみを繰り返し押さないでください。
  • 筋肉由来と推測した頭痛に対し、元に戻せない噛み合わせ治療や、ボツリヌス毒素を通常の治療として用いることは避けます。

評価を受ける目安

  • 新たにこめかみが痛み、頭皮を押すと痛む、噛むと顎が痛い・疲れるといった症状も伴う場合は、当日中に緊急で医科評価を受けてください。特に50歳以降は注意が必要です。
  • 新たな複視や視力喪失、または神経症状を伴う突然の激しい頭痛は、救急で評価を受けてください。
  • 顔の腫れ、発熱、顎がロックする、食べたり飲んだりできないといった場合は、速やかに歯科・医科で評価を受けてください。

顎関節症による頭痛と判断するには、こめかみに圧痛があるだけでは不十分です。顎を動かすと頭痛が変わり、適切な顎・側頭筋の診察でいつもの頭痛が再現される必要があります。さらに、疼痛性顎関節症と診断され、別の原因による頭痛も検討されている必要があります。

診察・触診・治療の根拠

筋肉と痛みの図解

側頭筋

青色は対象の筋肉を示します。×印は代表的なトリガーポイントの位置、陰影は関連痛が現れる可能性のある範囲です。これらの例は、下に番号付きで示す各ポイントと一対一に対応するものではありません。痛みの広がりには個人差があり、この図だけで原因を診断することはできません。

画像内の表記は英語です。

筋肉と痛みの図解

Temporalis · Anatomy 1

Anatomical view of the illustrated muscle.

画像内の表記は英語です。

元のサイズで画像を開く

トリガーポイント

1. TrP1

位置。 耳の上方、側頭窩

トリガーポイントの分布図
側頭筋 — トリガーポイントの分布図元のサイズで画像を開く

この筋肉で共通の図です。複数のトリガーポイントが示されている場合があります。

関連痛の分布図
側頭筋 — 関連痛の分布図元のサイズで画像を開く

この筋肉で共通の図です。複数のトリガーポイントが示されている場合があります。

関連痛。 側頭部と頭部側面

関連痛のパターン

  • 側頭部
  • 頭部側面
  • 耳の上方
  • 上顎歯

この痛みが、どのように感じられるか

噛む・食いしばる動作で、いつもの痛みが変わる場合があります。受診理由となった頭痛と一致するか、別の症状かを確認します。 食べ物の種類と噛む時間を記録します。普段感じる筋痛と、新たな顎跛行(噛むと顎が痛む・疲れる症状)を区別します。

患者さんからよく伺うお話

  • 顎を使うとこめかみのうずきが変わる
  • 噛むと痛い
  • 朝、こめかみが痛む

症状が悪化しやすい状況

  • ガムを噛む
  • 硬い食べ物を食べる
  • 夜間の歯ぎしり
  • ストレス
  • 口を大きく開ける
  • 長時間の会話
関連する運動を見る (2)

患者が訴える症状

顎を使うとこめかみがうずく 噛む・食いしばる動作で、いつもの痛みが変わる場合があります。受診理由となった頭痛と一致するか、別の症状かを確認します。

噛むと痛い、疲れる 食べ物の種類と噛む時間を記録します。普段感じる筋痛と、新たな顎跛行(噛むと顎が痛む・疲れる症状)を区別します。

こめかみの圧痛 さまざまな頭痛疾患で、押すと痛む場合があります。圧痛だけで、側頭筋が痛みを生んでいるとは判断できません。

口を開けると痛む 開口で、いつものこめかみ周辺痛が再現される場合があります。どこまで開くか、関節にも痛みがあるかを記録します。

よくある原因

日中の食いしばりや、歯を触れさせ続ける癖 顎を使う癖が、刺激に敏感な咀嚼系で症状を強める場合があります。常に警戒せず、こうした癖に気づくことが役立ちます。

噛む負荷の変化 ガムや噛み切りにくい食品が症状を誘発する場合があります。通常の食事をいつまでも制限する必要はありません。

睡眠やストレスの負担 痛みの感じ方や対処に影響する場合があります。どちらも、ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり)やトリガーポイント機序を証明するものではありません。

頭痛、歯科疾患、顎関節疾患の併存 片頭痛、歯痛、顎関節症は重なり合う場合があります。一つの筋肉で説明せず、それぞれに並行したケアが必要です。

臨床家と指導下の学習者向け

臨床資料

こめかみ痛は、顎の機能と頭痛歴を併せて考えます。新たな頭皮の圧痛、噛むと疲れる症状、視覚症状があれば、評価方針を変える必要があります。

解剖と触診

解剖学的な位置関係

扇状の筋が側頭窩を占めます。筋線維は腱に集まり、頬骨弓の深側を通って下顎骨筋突起と下顎枝前部に付きます。下顎を挙上し、後部線維は後退を助けます。下顎神経(V3)から分かれる深側頭神経が支配します。[8][10]

  • 頬骨弓より上に側頭窩があり、前部・中部・後部の筋領域が頭蓋骨側面に広がります。
  • 軽く噛みしめて筋を確認し、その後に力を抜きます。
  • 深部の腱は頬骨弓の下を通ります。通常の体表からの触診で狙う部位ではありません。

周辺の組織。 筋は側頭筋膜に覆われます。浅側頭血管と顔面神経枝は、さらに浅い組織層を走ります。眼窩、耳、顎関節も近接しますが、症状を生じる別の部位として考えます。

触診

患者さんの体位。 座位で上下の歯を離し、顎の力を抜きます。診察者が頭を安定させます。

解剖学的な目印を確認する

  • 短く噛みしめてから力を抜いてもらい、頬骨弓とその上にある柔らかな筋を確認します。
  • 顎関節症の診断基準(DC/TMD)のマップに従い、側頭筋前部・中部・後部を体表から診察します。

診察の手順

  1. 下の診察欄に示す、触診力を調整したDC/TMD手順を用います。表在性血管の拍動ではなく、筋に触れます。
  2. 誘発された痛みがいつもの痛みか、普段感じる頭痛と同じかを、それぞれ質問します。患者さんに痛む範囲を示してもらいます。
  3. 診察した領域と手順を変更した点を記録します。深部にある側頭筋腱の触診は補助的な手技であり、ここでは必須ではありません。

所見を記録する

  • 普段と同じこめかみ痛は、筋痛を判断する基準の一部になります。いつもの頭痛が再現された場合は、病歴を踏まえ、別に解釈します。
  • 受診理由と一致しない圧痛や、血管・頭皮病変に重なる痛みだけでは不十分です。

限界と注意点

  • 拍動する血管を押さないでください。巨細胞性動脈炎が疑われる患者さんでは、触診を続けないでください。
  • 眼窩から離れた位置で圧を加えます。こめかみを強くマッサージしたり、口腔内から腱を探ったりするよう指示するものではありません。
  • 耐えられない診察は中止します。より強い痛みを起こそうとせず、省いた部位を記録します。
[10][9][8][13]

診察と検査

3

DC/TMDによる側頭筋触診:いつもの痛みと広がり[9][10]

標準化した筋触診で、受診理由となった顎やこめかみの痛みが再現されるかを調べます。

体位
座位で顎の力を抜き、上下の歯を離します。診察者はもう一方の手で頭または下顎を支えます。
手技
側頭筋の境界を確認し、指定された体表側の領域を診察します。原版のDC/TMD診察者用手順に従い、筋への触診力を1 kgに調整します。筋痛を評価する場合は2秒、痛みの広がりや関連痛を調べる場合は5秒です。痛みがいつもと同じかを尋ね、患者さんに範囲を示してもらいます。短縮・省略した検査は記録します。
陽性所見
単に押すと痛むのではなく、受診理由となった痛みと一致することを確認します。筋内に広がる痛みと、筋境界を越える関連痛を分けて記録します。
解釈
対応する痛みの病歴がある場合、いつもの痛みは筋痛という分類を支持します。触診した筋の境界外へ関連痛が出る場合は、関連痛を伴う筋筋膜痛という下位分類を支持します。
限界
DC/TMDによる疼痛診断には、病歴と診察の両方が必要です。必要に応じて、ほかの疾患を除外します。触診力と時間は診察者向けの基準であり、自宅治療の指示ではありません。圧痛点や筋のぴくつきだけでは不十分です。

DC/TMDによる開口と、いつもの痛みの評価[9][10]

顎の機能を測り、筋周辺痛を関節痛や機械的なロックと区別します。

体位
上体を起こして座り、必要なら頭を支えます。上下の切歯が見える状態にします。
手技
痛みなく開く幅、自力で最大に開く幅、そして安全に行え、同意が得られた場合は診察者が補助した開口幅を記録します。切歯間距離をmmで測り、切歯が垂直に重なる量も考慮します。痛む動作の後は毎回、患者さんに場所を指してもらい、普段感じる痛みと一致するかを確認します。偏位、ロック、関節症状も記録します。
陽性所見
最大開口時に側頭筋で普段と同じ痛みがあり、病歴も一致する場合は、疼痛性顎関節症を考える手がかりになります。開口幅が小さいだけで筋痛とは判断できません。
解釈
筋痛を、噛む・開口・食いしばりで変化する顎やこめかみの痛みと併せて考えます。関節部にいつもの痛みが出れば顎関節痛を考えます。開口が妨げられ、ロック歴もある場合は、関節内の評価が必要です。
限界
DC/TMD全体の評価に含まれる検査であり、単独の筋検査ではありません。ロックした顎、最近けがをした顎、刺激に非常に敏感な顎を無理に開けないでください。補助を省いた場合は記録します。歯列、垂直被蓋、測定方法も結果に影響します。

DC/TMDによる、顎関節症に起因する頭痛の評価[9][10][13]

側頭部の頭痛が疼痛性顎関節症に関連すると考えられるかを調べます。こめかみ痛をすべて筋からの関連痛と決めつけません。

体位
座位で病歴を聴取します。その後、耐えられる範囲で顎を支えた開口と、体表からの側頭筋触診を行います。
手技
こめかみの頭痛について尋ね、噛む、顎を動かす、上下の歯を触れさせると変化するかを確認します。全体の評価を通じて筋痛または顎関節痛を診断します。側頭筋触診や顎可動域の検査中は、普段感じる頭痛が再現されたかを明確に尋ね、別の頭痛原因も検討します。
陽性所見
顎を使うと変化する側頭部頭痛の病歴に加え、定められた診察でいつもの頭痛が再現され、疼痛性顎関節症と診断されていることが条件です。
解釈
頭痛をよりよく説明する別の疾患がない場合、DC/TMDにおける顎関節症起因性頭痛の判断を支持します。片頭痛が併存すれば、そのケアも必要になる場合があります。
限界
単独で判断できる検査ではなく、押した際の一般的な痛みは、いつもの頭痛とは異なります。新たな頭痛や頭痛の変化、顎跛行、視覚症状は、顎関節症と考える前に医科で評価する必要があります。

ほかの原因との鑑別

巨細胞性動脈炎[13]

判断に役立つ所見。 新たな側頭部頭痛、頭皮の圧痛、噛むと顎が疲れる・痛む、視覚症状が手がかりになります。特に50歳を超える成人で注意します。

次の対応。 当日中に緊急で医科評価を受ける必要があります。新たな視力喪失や複視は救急で評価を受けてください。マッサージを試して受診を遅らせないでください。

片頭痛または緊張型頭痛[9]

判断に役立つ所見。 特徴的な随伴症状を伴う頭痛発作や、顎を使っても一貫して変わらない頭痛があり、筋の圧痛も併存する場合があります。

次の対応。 頭痛歴を十分に確認し、頭痛に対応したケアを行います。顎関節症は、当然の説明とせず、併存しうる疾患として考えます。

歯科疾患[9][12]

判断に役立つ所見。 温度や噛む動作で誘発される局所的な歯痛、腫れ、歯科所見があれば、歯の評価が必要です。こめかみを押して痛む場合も同様です。

次の対応。 歯科で検査を受けます。上顎歯への関連痛は、適切な歯科評価を済ませた後に検討します。

顎関節痛または機械的なロック[9][10][12]

判断に役立つ所見。 耳前部で関節にいつもの痛みがある、実際にロックする、開口幅が大きく減るといった所見は、関節の関与を考える手がかりです。

次の対応。 DC/TMDにおける関節評価を行い、画像検査で治療方針が変わるかを検討します。痛みを伴わないクリック音だけで、介入が必要とは判断しません。

治療の選択と進め方

臨床の専門家によるケア

対象を選んで検討する、顎筋痛への高強度レーザー療法(HILT)[2][3][1]

検討する場面。 筋由来の顎関節症と評価され、運動や徒手ケアを行っても噛む際の痛みや開口制限が続く方が対象です。

口腔顔面痛を扱う診療者と、顎リハビリにHILTを補助的に加える選択肢を相談します。痛みと、咀嚼や開口を妨げる制限の改善を目標にします。患者さん・施術者ともに、機器が発する波長と曝露条件に適合する保護眼鏡を使用します。

実施量と見直し
機器設定や施術回数は、明確な臨床手順で定める必要があります。閲覧可能な試験抄録には記載されていません。
段階的な進め方
噛む際の痛みと、楽に開く幅を再確認します。この試験は4週時点と12週時点で結果を評価しました。
中止・再評価の目安
皮膚の不快感や顎痛の悪化があれば中止します。ロックが続く場合や改善しない場合は、再評価します。
根拠と限界
筋由来の顎関節症がある76人を対象とした試験では、偽治療群に比べ、HILT群は4週時点で痛みが軽く、12週時点で最大開口量が大きいという結果でした。咬筋と側頭筋それぞれの効果は分離されていません。2023年の指針が評価した低出力レーザー療法は、出力や照射手順が異なります。

臨床の専門家によるケア

ドライニードリング(DN):評価された顎筋痛への早期の補助療法[4]

検討する場面。 口腔顔面痛を評価し、筋筋膜性顎痛が確認された方を対象とします。症状が続いており、施術を限定的に試すことを患者さんが希望する場合に検討します。

適切な研修を受けた診療者が咬筋と側頭筋前部を診察し、顎運動や徒手ケアと併せてDNを相談します。歯痛、ブラキシズムだけがある場合、一次性頭痛疾患に対して、この治療を選ぶものではありません。

実施量と見直し
2026年の偽治療対照試験では、1回の施術を検討しました。主な疼痛評価は、その10分後でした。
段階的な進め方
直後の痛みだけでなく、食事と開口も確認します。即時的な反応が続くと考えず、再評価します。
中止・再評価の目安
噛む力が弱くなる、内出血、顔の感覚変化、悪化が続くといった場合は、担当者に伝えてください。
根拠と限界
無作為に割り付けた44人のうち40人が、咬筋・側頭筋前部へのDN研究を完了しました。偽治療と比べて即時的な鎮痛がみられました。10分間の追跡では、効果が続くことや、二つの筋それぞれに対する効果は確認できません。

臨床の専門家によるケア

衝撃波療法:専門診療で検討され始めた顎関節症への選択肢[5]

検討する場面。 初期評価と基本的なケアを受けても顎関節症が続く方から対象を選び、研究による裏づけが限られることを明確に説明したうえで検討します。

口腔顔面痛を扱う診療者と、小規模な追加療法試験について相談します。閲覧できる報告からは、咬筋・側頭筋を日常診療で標的にする方針や、集束型と拡散型のどちらを選ぶかは確立していません。

実施量と見直し
試験では、通常ケアに3回の施術を追加しました。研究での実施内容であり、標準的な顎治療手順ではありません。
段階的な進め方
治療後と数週間後に、痛みと開口を再評価します。食べやすくなったかも確認します。
中止・再評価の目安
悪化が長引く、新たに顎がロックする、顔に神経症状が出る場合は中止します。
根拠と限界
26人を対象とした偽治療対照研究では、2週間後に痛みと顎開口指数が改善し、その4週間後にも再評価しました。対象数が少なく追跡も短いうえ、顎関節症を広く組み入れているため、特定筋に固有の効果や長期的な効果は判断しにくい結果です。

臨床の専門家によるケア

難治性の顎筋痛に対する、ボツリヌス毒素や注射の相談[11][6][7]

検討する場面。 適切な保存的ケアを行い、歯、関節、頭痛の原因を専門家が見直しても、生活に支障を来す咬筋・側頭筋痛が続く方が対象です。

慢性顎関節症の指針は、ボツリヌス毒素とトリガーポイント注射を行わないことを条件付きで推奨しています。例外的に検討する場合は、食事・開口の目標を明確にし、不確かな利益、噛む力の低下、顔貌変化について話し合う必要があります。ブラキシズムだけでは、鎮痛効果を予測できません。

実施量と見直し
通常使用する毒素量、先に行う手技の順序、決まった間隔で繰り返す治療は、ここでは確立していません。
段階的な進め方
その後数週間にわたり、食事、楽な開口、筋力を確認します。意味のある効果が得られ、有害作用も評価した場合に限って、再施術を検討します。
中止・再評価の目安
飲み込みや呼吸が難しい場合は、緊急の評価が必要です。噛む力の低下、顔の左右差、機能低下があれば再評価します。
根拠と限界
難治性疼痛がある方から選ばれた32人の試験では、生理食塩水と比べ、ボツリヌス毒素は1か月・6か月時点で痛みをより軽減しました。一方、66人のクロスオーバー試験では、痛み・生活上の支障に優位性がなく、筋機能は低下しました。咬筋と側頭筋を併せて治療した結果から、特定筋に由来する頭痛への適応は確立できません。

セルフケアと活動

痛む顎への負荷を減らし、普段の使い方へ戻す[12][11]

検討する場面。 歯科・顎関節症の評価を待つ間や評価後に、複雑な問題を伴わない顎筋痛がある方が対象です。

日中に歯が触れていないか、ペンを噛む癖やガムに気づくようにします。休息時は顎を固めず、上下の歯を離します。症状が強まる時期は噛みやすい食品を選び、一口量を小さくします。栄養を偏らせず、楽に顎を動かし続けます。

実施量と見直し
実用的な例として、普段の生活場面をいくつか選び、歯が触れていないか確認します。食事ごとに硬さを調整します。生涯にわたる軟食を指示するものではありません。
段階的な進め方
食事に耐えられるようになったら、硬めの食品や長く噛む動作を徐々に戻します。症状を常に確認したり、不必要に食品を制限したりしないでください。
中止・再評価の目安
ロック、徐々に進む開口制限、食べられない状態は評価を受けてください。顔の腫れ、発熱、飲み込みや呼吸が難しい症状は、緊急受診が必要です。
根拠と限界
保存的な説明・助言や通常ケアは支持されています。特定の安静位や食事だけで顎関節症が治るわけではありません。歯科装置は対象を選べば歯を守る場合がありますが、痛みを治す通常の方法ではありません。

運動とリハビリテーション

専門家が指導する顎運動と、自宅練習[11][12]

検討する場面。 関節ロック、歯科感染、外傷を評価したうえで、動作に関連した筋痛がある方を対象とします。

上体を起こして座り、顎の力を抜いて始めます。楽な範囲でゆっくり開口し、噛みしめずにそっと閉じます。鏡を使うと動きを確認しやすい場合がありますが、完全な左右対称を無理に求めません。ストレッチや側方運動を加えるかは、診察に基づいて担当者が選びます。

実施量と見直し
試験固有の処方ではなく、実用的な開始例です。1日1回、楽な開閉口を5回から始めます。症状が出やすい場合は、動かす幅を小さくします。
段階的な進め方
楽に開く幅を増やしてから、回数を増やします。患者さんにとって必要な咀嚼課題を加えます。練習で食事がつらくなる、翌日の症状が悪化する場合は、再評価します。
中止・再評価の目安
鋭い関節痛、新たなロック、悪化が続く場合は、無理な動きを中止します。痛みを伴わないクリック音だけで、すべての運動をやめる必要はありません。
根拠と限界
慢性顎関節症痛では、指導下での顎運動やストレッチが支持されています。特定筋に最適な自宅練習量は確立していません。

臨床の専門家によるケア

慢性顎筋痛に対する側頭筋への圧刺激[11]

検討する場面。 痛みを伴う顎関節症が少なくとも3か月続き、診察や顎を使う動作でいつもの筋痛が出る方が対象です。

顎を支え、上下の歯を離した状態にします。診療者は、いつもと同じ側頭筋圧痛があるこめかみの浅い部分に、患者さんが心地よく感じる圧を加えます。触れて分かる動脈の拍動から離れた位置を選びます。診察で関係する制限が見つかれば、施術者が顎運動を補助します。楽な開口と咀嚼を再確認します。口腔内への接触は任意で、研修を受けた診療者と明確な同意が必要です。

実施量と見直し
指針はこの治療を推奨していますが、圧を加える時間や受診回数を一律には定めていません。短く耐えられる試行を相談して決め、反応を記録してから追加の受診を判断します。
段階的な進め方
楽な開口、噛む際の痛み、受診の合間にも役立つ変化を追います。対象を選んだ徒手ケアを、適切な顎運動や自己管理目標と組み合わせます。
中止・再評価の目安
治療でロック、腫れ、顔に電気が走るような痛み、長引く悪化が生じたら中止します。繰り返す前に原因を再評価します。
根拠と限界
2023年の指針は、慢性疼痛性顎関節症に対し、プラセボ・偽治療との比較で、徒手的トリガーポイント療法と施術者補助によるモビライゼーションを強く推奨しています。筋ごとの反応率や、一律の追跡間隔は示されていません。痛みを伴わないブラキシズムに利益があるとも判断できません。

臨床の専門家によるケア

痛みへの対処と、顎を使う癖への支援[11]

検討する場面。 顎関節症痛が続き、睡眠、食事、気分、活動参加に影響している方が対象です。特に、苦痛が強い場合や日中の食いしばり癖に対処しにくい場合に検討します。

歯科的・身体的ケアと併せ、痛みを対象とした認知行動療法(CBT)を提案します。活動目標を決め、歯を触れさせ続けるきっかけを確認し、実行しやすい対処法や睡眠習慣を考えます。

実施量と見直し
診療者が個別に組み立てる治療です。面談の合間に、相談して決めた技能を練習します。一律の回数や回復期限を裏づけるものではありません。
段階的な進め方
ときどき症状が残っても、安心して食べやすくなったか、生活への支障が減ったか、活動を取り戻せたかで進歩を判断します。
中止・再評価の目安
苦痛や症状への警戒が増す場合は、方法を見直します。新たに歯、神経、関節に限局する所見が出れば、診察が必要です。
根拠と限界
CBTは、バイオフィードバックやリラクセーションを併用する場合もしない場合も、慢性顎関節症痛に対して支持されています。痛みが生活へ及ぼす影響を扱う治療です。痛みが想像上だという意味ではありません。また、ストレスだけが原因だと示すものでもありません。

再評価と経過観察

  • 頭痛がある日数、持続時間、生活への支障を追い、顎を使うと変わるかを記録します。新しい特徴が出た場合は、再評価します。
  • 同じ方法で開口幅をmmで再測定し、こめかみ痛と関節痛を区別します。
  • 患者さんにとって重要な食べ物の硬さと咀嚼時間を選び、同じ条件で比べます。
  • 痛みと併せて、会話・あくびに耐えられるか、活動参加の目標を追います。こめかみの圧痛が軽くなっただけで、回復したとは判断できません。

根拠と出典

  1. OSHA: Guidelines for Laser Safety and Hazard Assessment

    2026 · 公的なレーザー安全指針(2026年閲覧)

    記載年は参照年です。保護眼鏡はレーザー波長と必要な光学濃度に適合する必要があります。クラスIVの使用には、眼の保護とビーム管理が必要です。

  2. Effectiveness of high-intensity laser therapy in patients with myogenic temporomandibular joint disorder: A double-blind, placebo-controlled study

    2022 · プラセボ対照無作為化試験

    筋由来の顎関節症がある76人を対象としました。偽治療群に比べ、HILT群は4週時点で痛みが軽く、12週時点で最大開口量が大きいという結果でした。オンライン公開は2021年です。

  3. Management of chronic pain associated with temporomandibular disorders: a clinical practice guideline

    2023 · 診療ガイドライン

    運動と徒手ケアを支持しています。低出力レーザー療法を行わないという条件付き推奨を、HILTそのものを評価した結果として扱ってはいけません。

  4. Durmaz et al. Immediate Effects of Dry Needling in Patients with Myofascial Temporomandibular Disorders: A Randomized Controlled Trial

    2026 · 無作為化臨床試験

    44人を無作為に割り付け、40人が完了しました。咬筋・側頭筋前部へのDNを1回行い、偽治療と比較しました。痛みの評価は10分後です。持続的な有効性や、筋電図(EMG)で一貫した効果が得られると主張できる結果ではありません。

  5. Song et al. The application of extracorporeal shock wave therapy in the treatment of temporomandibular joint disorders in a preliminary, small sample study

    2024 · 無作為化臨床試験

    顎関節症がある26人を対象とし、通常治療に体外衝撃波療法を3回加える群と、通常治療に偽治療を加える群を比較しました。痛み・開口の追跡は短期間です。閲覧可能な一次資料からは、機器型式や特定筋への標的設定は確立していません。

  6. De la Torre Canales et al. Botulinum toxin-A effects on pain, somatosensory and psychosocial features of patients with refractory masticatory myofascial pain

    2024 · 無作為化臨床試験

    32人を無作為に割り付け、28人が完了しました。咬筋・側頭筋前部へのボツリヌス毒素と生理食塩水を比較しました。保存的ケア後も強い痛みが続く方から対象を選び、1か月・6か月時点で利益がみられました。少人数であり、筋力低下や顔面・嚥下への影響も報告されているため、広く一般化できません。

  7. Sitnikova et al. Clinical benefit of botulinum toxin for treatment of persistent TMD-related myofascial pain: A randomized, placebo-controlled, cross-over trial

    2024 · 無作為化臨床試験

    66人を無作為化したクロスオーバー試験です。2週、11週、16週時点で、群間の痛み・生活上の支障に優位性はありませんでした。筋機能は低下しました。治療群内で痛みが改善しても、毒素による効果を証明したことにはなりません。

  8. Anatomy, Head and Neck, Mastication Muscles

    2023 · 解剖学の参考資料

    側頭筋の付着と顎を閉じる働きを扱う解剖資料です。解剖に基づく関連痛の仮説は、診断を証明するものではありません。

  9. Schiffman et al. Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders (DC/TMD)

    2014 · 妥当性が検証された診断基準

    いつもの痛みと顎に関連する病歴は、疼痛性顎関節症を診断する手がかりになります。触れる結節が原因だと証明するものではありません。

  10. Ohrbach et al. DC/TMD Clinical Examination Protocol, January 6, 2014

    2014 · 検者向けの原法手順

    古いファイル名とは異なり、表紙には2014年1月と記載されています。筋触診力の調整、2秒・5秒の保持時間、開口測定を確認した原資料です。診療者による検査であり、セルフマッサージ量を示すものではありません。

  11. Management of chronic pain associated with temporomandibular disorders: a clinical practice guideline

    2023 · 診療ガイドライン

    慢性疼痛性顎関節症に対し、プラセボ・偽治療との比較で、徒手的トリガーポイント療法と施術者補助によるモビライゼーションを強く推奨しています。圧刺激の時間、受診回数、追跡間隔は一律に定めていません。咬筋や側頭筋だけを治療する有効性は確認できません。

  12. National Institute of Dental and Craniofacial Research: TMD

    2026 · 政府による患者・臨床向け指針

    2026年9月に参照しました。記載年は参照年であり、公開年を示すものではありません。保存的ケア、関節音、歯科装置の限界を扱います。

  13. NHS: Temporal arteritis

    2026 · 国の医療サービスによる指針

    2026年9月に参照しました。記載年は参照年です。新たな側頭部頭痛、頭皮の圧痛、顎跛行、視覚症状は、緊急評価が必要です。

関連するトリガーポイント