体外衝撃波療法とは
体外衝撃波療法(ESWT)は、皮膚の上から音響圧力パルスを体内へ伝える治療です。筋骨格系の研究では、特定の病態においてこの刺激で痛みや機能が良くなるかどうかが検証されています。
エビデンスには、慢性の大転子疼痛症候群(GTPS)のような腱に関わる疾患と、それとは別に、上部僧帽筋・腰方形筋・梨状筋症候群を対象とした筋筋膜性疼痛の試験があります。治療の標的も比較の相手も、研究ごとに異なります。
大切なのは、リハビリテーションと並行して、特定の痛む動作が治療で良くなっているかを確かめることです。
集束型の装置は選んだ領域にエネルギーを集中させ、拡散型(ラジアル)の圧力波はアプリケータから周囲へ広がります。どちらを選ぶかは、解剖、装置の特性、病態ごとのエビデンスをもとに決めていきます。
衝撃波療法の種類
集束型ESWT(fESWT)
- • 衝撃波は、電磁式・電気水圧式・圧電式のいずれかの方式で発生させます
- • 焦点領域の広さやエネルギーの分布は、装置とアプリケータによって変わります
- • 標的の深さは解剖を踏まえて決め、必要に応じて画像検査も参考にします
- • 慢性GTPSの試験では、超音波で位置を確かめたうえで殿筋腱の付着部に照射しています
- • 腱の疾患で得られたエビデンスが、筋の一点だけを狙う治療の裏づけになるわけではありません
用いる場面: 評価で定めた標的に、集束型のプロトコルを合わせて用いる場面
拡散型圧力波(rPWT/rESWT)
- • 圧力波は、皮膚に当てたアプリケータから周囲へ広がっていきます
- • アプリケータの形状や設定によって、刺激の及ぶ範囲が変わります
- • 拡散型の研究には、上部僧帽筋の痛みや、診察で確認された梨状筋症候群を対象としたものがあります
- • 拡散型と集束型の設定は、互いに置き換えられるものではありません
- • どちらを選ぶかは、診断・解剖・該当する研究を踏まえて判断します
用いる場面: 選んだ拡散型プロトコルで研究されている病態
考えられている作用機序
細胞や動物を使った研究では、シグナル伝達や血管への作用が起こり得ることが報告されています。一方、筋筋膜性疼痛の臨床試験が主に評価しているのは痛み・圧痛・機能で、組織の構造的な修復が改善の理由だと確かめられたわけではありません。
メカノトランスダクション(機械的刺激の信号変換)
局所の痛みの感じやすさ
動物研究でみられた血管の反応
一酸化窒素と血管のシグナル
痛みを調節する作用
臨床で評価されている項目
治療期間を通じた反応
臨床上の標的
装置を選ぶ前に、診断名と組織の部位を明確にします。
実施したプロトコル
装置、エネルギー、インパルス数、繰り返し周波数、受診回数を記録します。
動作での反応
同じ動きや作業を繰り返し、意味のある効果があるかを確かめます。
経過観察
治療コースを終えたら、あらかじめ決めた時期に痛みと機能を見直します。
研究で用いられた設定と線量の選び方
エネルギー流束密度
パルス数
パルス繰り返し周波数
治療回数
治療の間隔
1回の所要時間
麻酔
臨床エビデンス
Hong ら(2017年)— 腰方形筋;PMID 28971042
Eftekharsadat ら(2020年)— 腰方形筋;PMID 33076888
Şenlikci ら(2025年)— 上部僧帽筋;PMID 41042302
Dede ら(2026年)— 梨状筋症候群;PMID 42291383
Ramon ら(2020年)— 慢性GTPS;PMID 32769596
Song ら(2024年)— 顎関節症(TMD);PMID 38685720
痛みの軽減
圧痛閾値
可動域
治療の流れ
評価と標的の決定
カップリングジェルの塗布
アプリケータの位置決め
プロトコルの設定と忍容性の確認
感覚を確かめながらの照射
運動療法の継続
日常活動についての助言
衝撃波療法を検討できる場合
診察で確認された筋筋膜性疼痛
針を避けたい方
診察で確認された上部僧帽筋の筋筋膜性疼痛
長引く殿筋腱の痛み/GTPS
筋筋膜性疼痛と腱障害が混在する場合
リハビリテーションの目標がはっきりしている方
禁忌と副作用
治療を避けなければならない場合
治療前に確認すること
副作用
試験では、局所の痛み、赤み、内出血が報告されています。効果を調べた小規模な研究からは、まれな合併症の正確な頻度まではわかりません。どのような注意が必要かは、装置と解剖学的な治療範囲によって決まります。
一時的な皮膚の赤み
軽い腫れ
点状出血・小さな皮下出血
治療中の痛み
治療後の痛み
ESWTとほかの治療との比較
vs ドライニードリング
vs 治療的超音波
vs TENS
vs 徒手療法
治療と再評価
週1回×3
活動
2〜6か月
衝撃波療法は、慢性GTPSや一部の筋筋膜性の病態など、診察で確認された特定の病態に対する選択肢の一つです。
集束型と拡散型は圧力場が異なるため、設定と適応はエビデンスに合わせて選ぶ必要があります。
シャム対照試験では、週1回・計3回の集束型治療に運動療法を組み合わせることで、慢性GTPSの成績が改善しました。
上部僧帽筋・腰方形筋・梨状筋・顎の研究は、それぞれ比較の相手も追跡期間も異なります。
治療を続ける意味があるかどうかは、決めておいた動作での痛みと、日常生活の機能で判断します。
高エネルギーの集束型治療には、部位と出血に関わる特有の禁忌があります。