§ 01

トリガーポイントへのボトックス注射とは

ボツリヌス毒素は、Clostridium botulinum(ボツリヌス菌)がつくる強力な生物由来の神経毒素です。厳密に管理された医療用の用量であれば、神経疾患、痛み、運動障害など、いくつかの領域で治療に用いられています。

臨床で広く使われているA型製剤は、オナボツリヌストキシンA(ボトックス®)、アボボツリヌストキシンA(ディスポート®)、インコボツリヌストキシンA(ゼオマイン®)の3つです。B型製剤として、リマボツリヌストキシンB(マイオブロック®)もあります。これらの製剤は単位が同等ではなく、用量の面で互いに置き換えられるものとして扱ってはいけません。

筋筋膜痛の診療では、局所的な筋の過活動を抑え、場合によっては痛みの伝達を調節することを狙って、難治例の一部にボツリヌス毒素が用いられることがあります。トリガーポイントへの使用は適応外で、エビデンスの結果は研究によって分かれ、病態ごとにも異なります。

§ 02

作用機序

ボツリヌス毒素は、神経筋接合部での、よく解明された分子レベルの過程を通じて、神経伝達物質の放出を減らします。痛みを調節する作用もほかに提唱されていますが、筋筋膜痛の臨床では、そのすべてが同じ程度に確かめられているわけではありません。

ボツリヌス毒素は、筋の過活動を抑える作用と、より広く痛みを調節する作用の両面から、難治性のトリガーポイントの一部で役立つ可能性があります。

ボトックス

ボトックス

神経筋接合部での作用機序
01

アセチルコリン放出の遮断

ボツリヌス毒素は、神経筋接合部にあるシナプス前のコリン作動性神経終末に結合し、アセチルコリン(ACh)の放出を減らします。運動終板のニコチン性受容体に届くAChが少なくなるため、筋肉を収縮させる信号が弱まります。限られた臨床場面で、局所的な筋の過剰な活動を抑えられることがあるのは、主にこの作用によるものです。

02

SNAREタンパク質複合体の切断

A型ボツリヌス毒素の軽鎖は、SNARE複合体を構成するタンパク質の一つであるSNAP-25を切断します。SNARE複合体は、シナプス小胞が膜に接着して融合するために欠かせない仕組みです。これが壊れると、神経伝達物質の放出が減少します。分子レベルの機序としては確立していますが、実際の臨床効果は、用量、注射する位置、どの筋を選ぶか、そして患者さんご本人の要因によって左右されます。

03

シナプス小胞の融合阻止

SNARE複合体の働きが損なわれると、アセチルコリンを含む小胞はシナプス前膜と正常に融合できなくなります。その結果、神経終末の機能が少しずつ回復するまで、神経伝達物質の放出が抑えられた状態が続きます。効果が数分ではなく数日かけて現れ、数時間ではなく数か月かけて薄れていくのは、このためです。

04

局所の筋過活動の軽減

トリガーポイント診療の一部のモデルでは、痛む部位で続いている局所的な筋の過活動や過敏な状態を和らげる目的で、ボツリヌス毒素が使われます。難治性の筋筋膜痛で研究されてきた理由の一つもここにあります。ただし、トリガーポイントの仕組みをすべて「治す」治療と受け止めるのは適切ではありません。慎重に選ばれた症例に対する、選択肢の一つと考えてください。

05

痛みに関わる神経伝達物質への作用

神経筋への作用とは別に、ボツリヌス毒素はサブスタンスP、グルタミン酸、CGRPといった、痛みに関わる神経ペプチドや神経伝達物質の一部について、放出を減らす可能性があります。筋弛緩だけでは説明できない抗侵害受容作用(痛みの信号を抑える作用)が提唱されているのは、そのためです。もっとも、筋筋膜痛においてこれらの機序がどれほど臨床的に重要なのかは、理にかなった考え方ではあるものの、まだ結論が出ていません。

06

筋弛緩を超えた鎮痛作用の可能性

局所の筋力を弱める作用だけでは十分に説明できない経路で、ボツリヌス毒素が痛みの伝達に影響する可能性も示唆されています。候補として挙げられているのは、末梢の侵害受容器への作用や、より広い痛みの調節経路への影響などです。こうした考え方はまだ発展途上にあります。臨床効果を説明する確立した理論ではなく、機序の面で興味深い仮説として受け止めるのが妥当でしょう。

§ 03

製剤と用量

オナボツリヌストキシンA(ボトックス®)

研究が最も多い

アラガン/アッヴィ

用量病態に応じて医師が決定。MPSに標準用量はありません
効果発現2〜7日
ピーク2〜4週
持続筋への作用と、実感できる痛みの軽減とでは持続が異なります
A型ボツリヌス毒素製剤のなかで最もよく知られ、痛みや神経筋疾患に関わる領域で研究が最も多い製剤の一つです。筋筋膜痛の診療では、対象とする筋や部位、医師の方針、治療する部位の数によって投与量はさまざまです。効果はふつう数日のうちに現れ始め、その後の数週間でピークを迎えます。持続は日単位ではなく、月単位で語られることが多いとされています。単位の定義は製剤ごとに異なるため、用量を別の製剤に安易に当てはめるべきではありません。

アボボツリヌストキシンA(ディスポート®)

単位の効力が異なる

イプセン/ガルデルマ

用量製剤固有の単位。一般的な換算比での置き換えは不可
効果発現1〜3日
ピーク2〜4週
持続筋への作用と、実感できる痛みの軽減とでは持続が異なります
アボボツリヌストキシンAは、オナボツリヌストキシンAとは効力単位の定義も、組織への拡散の特性も異なります。単位に互換性はなく、一般的な換算比を使って置き換えてはいけません。大きな筋や、解剖学的に注意が必要な部位では、拡散の特性を考慮して製剤を選ぶ医師もいます。

インコボツリヌストキシンA(ゼオマイン®)

複合タンパク質を含まない

メルツ・ファーマシューティカルズ

用量製剤固有の用量。梨状筋の臨床試験の投与法は、どこにでも通用するものではありません
効果発現2〜7日
ピーク2〜4週
持続筋への作用と、実感できる痛みの軽減とでは持続が異なります
インコボツリヌストキシンAは、付随する複合タンパク質を含まない製剤です。そのため、繰り返し使ったときの免疫原性(抗体のできやすさ)が低い可能性が議論されています。実際の診療では、多くの場面でボトックスとおおむね同じように使われていると考えられていますが、製剤ごとの取り扱いや、医師がその製剤にどれだけ慣れているかも無視できません。

リマボツリヌストキシンB(マイオブロック®)

B型(血清型B)

スーパーナス・ファーマシューティカルズ

用量製剤固有。A型の単位とは直接比較できません
効果発現24〜48時間
ピーク1〜2週
持続筋への作用と、実感できる痛みの軽減とでは持続が異なります
リマボツリヌストキシンBはB型のボツリヌス毒素で、作用する分子の標的も、単位の体系もA型とは異なります。筋筋膜痛の分野で使われることは比較的少なく、ほかの神経筋疾患の適応で取り上げられることの多い製剤です。A型製剤が適さない場合に検討されることもありますが、筋筋膜痛での使い方はA型ほど確立していません。
§ 04

臨床エビデンス

筋筋膜痛に対するボトックス

筋筋膜痛に対するボトックス

エビデンスの概要図
結果は混在し、病態によって異なる慢性・難治性の筋筋膜痛のうち、選ばれた集団

首と肩のMPSに関する試験は、結果が一致していません。大規模な用量設定試験では効果が示されず、上背部の試験では効果が報告され、効果のあった人を選んだ研究では再治療が支持されました。圧痛の有無や関連痛のマップから、どの結果が個々の患者さんに当てはまるのかを予測することはできません。

梨状筋については選ばれた患者さんを対象とした試験があり、専門医と相談する根拠にはなります。顎の痛みの研究には、効果を示したものと示さなかったものがあり、慢性TMDのガイダンスはボツリヌス毒素のルーチン使用を推奨していません。一般的なMPS、痛みを伴うTMD、梨状筋症候群への使用は、米国では適応外です。

Ferrante ら(2005年)

132人を対象としたランダム化用量設定試験です。患者さんごとに選んだ頸胸部の活動性トリガーポイント(最大5か所)に、生理食塩水か、3段階の用量のボツリヌス毒素のいずれかを注射しました。12週目まで、痛み、圧痛閾値、レスキュー薬の使用量に差はみられませんでした。部位や用量を固定した試験ではありません。

Göbel ら(2006年)

アボボツリヌストキシンAを、個別に選んだ上背部の圧痛点10か所に注射した試験です。5週目に痛みが「軽度またはなし」となった方は、生理食塩水群の26%に対して51%でした。上背部に限った研究であり、首のすべての筋や、あらゆる製剤について適応を裏づけるものではありません。

Nicol ら(2014年)

114人がまずボツリヌス毒素の治療を受け、効果があった54人を、2回目の毒素治療と生理食塩水のいずれかにランダムに割り付けました。再治療により、その後12週間の平均的な痛みは改善しました。ただし、これは効果のあった人を選んだうえでの再治療のエビデンスであり、選別していない人が初回治療で効く割合を示すものではありません。

Fishman ら(2017年)— 梨状筋

FAIR肢位(股関節の屈曲・内転・内旋)でH反射の遅延があり、傍脊柱筋の筋電図が正常という条件で選ばれた56人に、インコボツリヌストキシンA+理学療法、または生理食塩水+理学療法を行いました。2〜12週の痛みは、ボツリヌス毒素群のほうが良好でした。これらの組み入れ基準は試験の条件を示すもので、お尻を押すと痛い場合に日常的に行う診断検査ではありません。

De la Torre Canales ら、Sitnikova ら(2024年)— 顎の筋痛

難治性の痛みを対象とした小規模な試験(32人を割り付け、28人が完了。PMID 38378855)では、1か月後と6か月後にボツリヌス毒素が優位でした。一方、66人のクロスオーバー試験(PMID 38963228)では、痛みや機能障害について生理食塩水を明確に上回る効果はみられず、筋のパフォーマンスは低下しました。慢性の顎関節症(TMD)に関する2023年のガイドラインは、ボツリヌス毒素やトリガーポイント注射をルーチンに行わないよう、条件付きで推奨しています(PMID 38101929)。

PREEMPT試験(2010年)— 慢性片頭痛

片頭痛予防の試験を統合した解析で、成人1,384人が対象でした。24週目の時点で、4週あたりの頭痛日数の減少は、プラセボ群の6.6日に対して8.4日でした。これは慢性片頭痛の治療を検証した試験であり、アトラスの痛みマップをもとに注射部位を選ぶ方法を検証したものではありません。

一部の反応例

結果はサブグループやプロトコルによって異なります

診断が前提

実感できる痛みの軽減は、筋力低下の程度と一致するとは限りません

さまざま

当てはまるかどうかは、病態と比較対照によって決まります
§ 05

注射の手順

処置前の評価とトリガーポイントの確認

問診、触診、症状の出方、日常生活での困りごとなどを踏まえて丁寧に診察し、治療の対象とする部位を見極めます。押して痛む点をすべて治療しようとするのではなく、臨床的に最も意味のある部位だけを選ぶのが実際のやり方です。治療部位の数や位置、選んだ理由を記録しておくことは大切で、適応外使用の場合はなおさらです。

画像ガイド(必要な場合)

深い位置にある筋や、解剖学的に注意を要する部位では、超音波や筋電図(EMG)のガイドを用いることで、正確さと安全性が高まる可能性があります。すべての症例に必要なわけではありません。とはいえ、体表の目印がわかりにくい場合、近くを走る神経や血管に配慮が必要な場合、ガイドなしの注射でうまくいかなかった経験がある場合には、とくに役立つことがあります。

準備と針の選択

注射部位は標準的な方法で消毒します。針の太さと長さは、筋の深さや体格、対象となる部位をもとに選びます。薬剤の溶解や取り扱いは、それぞれの製剤の指示に従います。ボツリヌス毒素は生物学的製剤ですから、丁寧な準備が効果にも安全性にも関わってきます。

対象部位への注射

医師は対象部位を固定し、選んだ位置まで針を進めます。手技や解剖によって、1か所に注入することもあれば、痛みのある索状硬結(タイトバンド)や筋の一定範囲に分けて注入することもあります。目指すのは、決まった反応を儀式のように追い求めることではなく、解剖学的に適切な位置へ慎重に注入することです。手技によっては局所単収縮反応(LTR)がみられることもありますが、治療に必ず必要な条件ではありません。

複数のトリガーポイントの治療

臨床的に妥当で、総投与量が安全な範囲にとどまるのであれば、1回の治療で痛む部位を複数治療することもあります。ほとんどの場合は、考えられるすべての点を治療するのではなく、症状が強い部位や、動作のうえで重要な部位を優先します。

注射後の経過観察

処置の直後は、迷走神経反射、予想外の筋力低下、注射に伴う症状などがないか、しばらく様子をみるのが一般的です。あわせて、効果は遅れて現れること、一時的に痛みが出る可能性があること、どのような症状があれば再受診すべきかを、はっきりお伝えしておく必要があります。
§ 06

専門医への相談を検討してよい場面

保存的治療で改善しない慢性の筋筋膜性疼痛症候群(MPS)

運動を中心としたリハビリテーション、徒手療法、活動量の調整、睡眠の改善など、よりリスクの低い保存的な治療を続けても十分に良くならない、長引く筋筋膜痛の患者さんでは、症例を選んだうえでボツリヌス毒素が検討されることがあります。一般に、最初に選ぶ治療ではありません。

適切な保存療法のあとも症状が残る場合

ドライニードリングや局所麻酔薬の注射が効かなかったからといって、ボツリヌス毒素が効くと予測できるわけではありません。また、必ずその順番で進むべき治療でもありません。まずは診断と、生活や動作のどこに支障が出ているのかを見直します。そのうえで、専門的な処置に進む前に、実際の病態についてどのようなエビデンスがあるのかを話し合うことが大切です。

頭痛の診断を確かめる

オナボツリヌストキシンAは、慢性片頭痛の予防について米国などで確立した位置づけがあります。しかし、首やこめかみを押すと痛いというだけで、その適応に当てはまるわけではありません。頸原性頭痛や緊張型頭痛を対象とした臨床試験は結果が一貫せず、プラセボ対照で効果が示されなかった試験もあります。これらは、ボツリヌス毒素を日常的に用いる適応とはされていません。

ジストニアの併存

頸部ジストニアなど、すでにボツリヌス毒素の確立した適応をもち、さらに臨床的に問題となる筋筋膜痛も抱えている患者さんでは、両方を見据えた統合的な治療の候補として、とくに検討しやすい場合があります。

測定できる機能の目標と見直しの計画

治療法は、診断と期待できる効果をもとに選びます。目標は「食事が楽にとれる」「長く座っていられる」「仕事が楽になる」といった具体的なものにしましょう。通院が難しいことや、長く効く治療を望むこと自体は、ボツリヌス毒素が効く根拠にはなりません。再治療を考える前には、日常の動作と筋力低下の状態を改めて評価します。
§ 07

禁忌とリスク

絶対的禁忌

相対的禁忌

起こり得る副作用

§ 08

ボトックスとほかの注射療法の比較

比較項目
ボトックスリドカインによるトリガーポイント注射ドライニードリングコルチコステロイド

効果の現れ方

通常2〜7日
直後〜ごく短時間
さまざま。すぐに楽になることもあれば、改善の前に一時的な痛みが出ることもある
通常のトリガーポイント注射では、上乗せの鎮痛効果は確立していない

効果の持続

実感できる痛みの軽減は病態によって異なる。筋力低下はそれより長く続くことがある
しびれ(麻酔効果)は短時間。痛みや活動面の改善は、それより長く続くこともある
1回あたり数日〜数週間(反応による)
トリガーポイント注射で、持続面の優位性は確立していない

作用機序

神経筋遮断と、鎮痛作用の可能性
局所麻酔作用と、針による機械的な刺激
針による機械的・神経生理学的な作用
抗炎症作用と、注射による機械的な刺激

1回あたりの費用(米国の目安・円換算)

約7万5,000〜22万5,000円
約1万1,000〜3万円
約7,500〜2万2,500円
約1万5,000〜4万5,000円

再治療の頻度

前回の効果の大きさ、副作用、製剤ごとの制限をもとに判断
反応を見直して判断。一律の反復スケジュールはない
病態に応じて期間を区切って試し、機能の変化を確認
トリガーポイント注射を繰り返す際の標準的な選択肢ではない

向いている場面

慎重に選ばれた慢性・難治性の症例
すぐに麻酔効果が得られると助かる場合の、局所麻酔薬によるトリガーポイント注射
多くの施設で、比較的早い段階に用いられる介入的な選択肢
トリガーポイント注射としての上乗せ効果は確立していない。炎症性の別の病気には、その病気に応じたエビデンスが必要
§ 09

費用と保険

費用は、現実的に考えておくべき大切な点です。薬剤そのものが高価なうえ、画像ガイドを用いたり複数の部位を治療したりすると、1回あたりの総額はさらに膨らむことがあります。

費用の目安(米国の場合)

  • 米国では1回あたり約7万5,000〜22万5,000円 (円は概算の換算額)。用量、部位の数、医療機関、地域によって変わります
  • 総額を大きく左右するのは、多くの場合、薬剤費です
  • 超音波や筋電図のガイドを用いる場合は、追加の費用がかかることがあります

保険について

  • 適応外使用とみなされることが多く、保険の対象になりにくいのが実情です。日本では通常、健康保険が使えない自費診療となります
  • 米国では保険会社の事前承認が必要になることがあり、申請しても認められない場合があります
  • 保険が使えるかどうかは、診断名や保険者の方針によって変わることがあります
  • 不服申し立てが通ることもありますが、承認されるかどうかは予測できません。日本では、自費診療の分は高額療養費制度の対象になりません
§ 10

効果の経過の目安

2〜7日 — 筋への作用が現れ始める

筋への作用は数日かけて現れます。実感できる痛みの軽減がいつ、どの程度得られるかは、病態と個々の反応によって異なります。

2〜4週 — 初期の反応を確認する

その後の数週間で、痛み、筋力、日常生活の動作を見直します。筋の力が変化したからといって、鎮痛効果があった証拠にはなりません。

さまざま — 実感できる効果の持続

筋への作用が数か月続いても、それに見合う痛みの軽減が得られないことがあります。活動の目標と副作用は、分けて追っていきます。病態をまたいで効果の持続期間を比べた序列は、確立していません。
まとめ
  1. トリガーポイントへのボツリヌス毒素注射は適応外の選択肢で、慢性・難治性の筋筋膜痛のうち、選ばれた症例で検討されることがあります。

  2. 一般に最初に選ぶ治療ではなく、リスクが低く根拠もより確かな保存的治療を試したあとで検討されることが多い治療です。

  3. 主な作用は、神経筋接合部でのアセチルコリン放出の抑制です。筋弛緩以外にも、痛みを調節する作用が加わっている可能性があります。

  4. 解剖学的に正確な注射、用量の選択、慎重な患者選択は、効果と安全性の両方を左右します。

  5. 考えられるリスクには、注射部位の痛み、一時的な筋力低下、繰り返し投与での抗体産生による効果の低下、まれに起こる毒素作用の遠隔拡散があります。

  6. 首や顎の痛みに関する試験は、結果が分かれています。梨状筋の一部の研究では効果が示されていますが、その結果を、痛むすべての筋に当てはめることはできません。

  7. 費用と保険の扱いは、依然として大きな壁です。この用途は適応外であることが多く、保険で一貫して支払われるわけではありません。日本でも通常は健康保険の対象外です。

  8. ボツリヌス毒素は、単独で問題を解決する治療ではなく、より広い疼痛管理の一部として位置づけるのが妥当です。